「ようこそおいでくださいました。 当館は、空、海、森、草原、地底、異世界にかこまれた、静かな日帰り温泉でございます・・・」(あいうえおんせん女将 愛植緒こと林木林〜「絵本のたから箱」作者のことばより抜粋〜)
女将もそう申している通り、ここは世にもへんてこな温泉どころ。 どこがどうへんてこなのかって? それはもう、自慢のお湯の一例をあげてみましょう。 「観覧車おんせん」「潜水艦おんせん」「みぎまわりおんせん」「もどれないおんせん」・・・。 え、どんな温泉なのか想像もできませんか? それどころか、もっとすごいのは、「あいうえお」順に15のテーマ、75音分の種類が次から次へと登場するんですよ。 おとぎばなしの温泉では、「あかずきんの湯、いっすんぼうしの湯・・・」。がっき温泉では「がくふの湯、ギターのいで湯、グランドピアノの湯・・・」などなど。 他にもすいちゅう温泉やたんけん温泉、ロマンチック温泉なんて可愛らしいものから、果てはうちゅう温泉まで。 ことば遊びとことば探しで、壮大な世界をぐるっとお湯めぐりできちゃうのです。
作者はことば遊びの達人林木林さん(あいうえおんせん女将)。今回もだじゃれ心は忘れずに、ぶっとんだ展開を披露してくれています。 そして。説明だけではすでに頭の中が?だらけになっているであろう読者の皆さんを、具体的にへんてこ温泉の世界に連れていってくれるのが絵を描かれている高畠那生さん。すごいですよ。 「だんごむしのごろろんマッサージ」や「ひげつきひるねべや」がどんなことになっているのか、楽しみにしていてくださいね。
それにしても、「あいうえお」の絵本ってつくづく面白い! 予測のつかない展開に、密度の濃い内容。贅沢なのです。 たっぷり時間を取って、リラックスして笑いながら、じっくりと楽しんでくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ここは、世にもへんてこな温泉どころ。ご家族でゆっくり、おくつろぎください。 「あいうえお」は、おとぎばなしの温泉。「あ」あかずきんのゆ、「い」いっすんぼうしのゆ、「う」うらしまたろうのゆ、「え」えほんのゆ、「お」おやゆびひめのゆ につかって、おはなしの主人公気分。 「かきくけこ」は空中温泉。「か」かんらんしゃおんせん、「き」ききゅうぶろ、「く」くものうえおんせん、「け」ケーブルおんせん、「こ」こうのとりのゆ が空に浮かんで、眺めは最高! 「さしすせそ」の水中温泉、「だぢづでど」のどろどろぶろ、「やいゆえよ」の妖怪浴場・・・!? 15のテーマ、75音のゆかいなことば遊び温泉めぐりへ、ようこそ!
濁音を含めて五十音、それぞれの文字が言葉のはじめにくるユニークな「湯」が出てくるおもしろい絵本でした。こんな温泉施設があったらぜひ行ってみたいです。けれども、どのお湯も魅力的なので、全部、入っていたらのぼせてしまいそうです。おもしろい絵本でした。 (さくらっこママさん 30代・ママ 女の子8歳、男の子5歳)
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