雲にのって、たくさんの仏さまたちが集まってきました。 手がいっぱいの千手観音さまや、メラメラ燃えてるお不動さま、わんわん狛犬に、頭が鳥のカルラさま。 千差万別、個性いろいろ! 今日は、仏さまたちの大運動会! そこへやってきた、特別異彩を放つあのお方は……
おおきな体の大仏さまです! 運動会に参加するため、なんと、1000年ぶりに立ち上がったという大仏さまでしたが…… 体が大きすぎて、ぜんぜんまともに参加できない!?
「はあ、もうお寺に帰りたい」
なんともいえない切なげな表情でしょげかえる大仏さま。 はたして、大仏さまが活躍できる競技はあるのか!?
むっきむっき、もっりもっり! 筋肉むきむきの仁王さま考案、ヘンテコな動きの「仁王体操」や、 みんなでゆらゆら、仏ダンス! 宝船にのって音楽を奏でる、「ザ・七福神バンド」など。 仏さまの個性が垣間見えるユニークなシーンが盛りだくさんで、ひとりひとりの様子を追っていくだけでも楽しい一冊です。
そしてさすがは仏さま、口調がみょうにていねいで、しかし、やっていることはお祭りさわぎの大運動会。 そのギャップがおかしくて、みんな神々しいお姿をされているのに、どこかかわいく見えてくるから不思議です。
カバーをめくれば、作中に登場する仏さまたちのお姿が、コミカルな解説付きで拝めます。 仏さま同士の関係もうかがい知ることができて、キャラクターとしてのそれぞれの背景を、もっとくわしく知りたくなります。
ふだんは決して見ることのかなわない、「ありがたかわいい」仏さまたちの貴重なプライベートをぜひ楽しんでください! そして、大仏さまの意外な活躍も――?
(堀井拓馬 小説家)
今日は、仏さまたちの運動会。玉入れ、まんじゅう食い競争、組体操……いろいろな競技をがんばります。初めて参加の大仏様は、大きなからだで、失敗ばかり。でも仏様たちがケンカをはじめて、大仏様大活躍!
須弥山の上に、特設会場が設けられ、今日は仏さん達の大運動会だ。どのくらいの頻度で行われるのか、協賛や開催の理由など、面倒くさいことは一切不明。まず、表紙からして反則。面白過ぎ!
他の仏さんはみんな標準的・仏像サイズなのに、大仏様だけ大仏サイズ。いいのか?饅頭食い競争に狛犬が参加している。いいのか?(仏様ではなく、眷属ですが) たま入れに千手観音…いいのか?
そんな調子で、人間の尺度で見ていると反則・ツッコミどころ満載の、壮大なホラ話。さすが苅田先生。この大技のなかに、粋な小技が効いている。天界の話なのに、ありがたみと大阪のおばちゃん適なしつこさ&馴れ馴れしさが同居している不思議な世界観を表現した中川先生にも脱帽。
その辺の小学校や町内会の運動会を、そっくりそのまま仏さんたちがやるという発想が楽しい。袈裟の上からダサいジャージを着ている仏様が愛おしい。どのページも笑いどころ満載で、例え愛しい人が亡くなった直後でも明るい気持ちになれそう。あの世でも楽しい行事が待っていると思うと、早くお浄土に行きたいと思う仏教☆ファン倶楽部の皆さんもきっとあるのでは?
組体操でもめる、というのがちょっと痛い。仏様なのに、悟りがイマイチだったのか。もっと執着を捨てて、利他の気持ちで働いて欲しい。しかし、その辺がもし完璧に悟ってしまったら、この運動会自体が消滅…
やっぱり仏様と言えども、悟りきらないほうが楽しいことが多いのかしら。凡夫の私にはわかりませんが、この絵本が面白いことはよくわかりました。 (渡”邉恵’里’さん 30代・その他の方 )
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