この絵本は、「きりのなかのはりねずみ」を書いたロシアの児童文学作家のセルゲイ・コズロフの戯曲「雪の花」をもとに作られました。
大晦日、高熱をだしたクマくんを助けたい一心で、ハリネズミは誰も見た事がない雪の花≠探しに出かけます。 ハリネズミは、森の木々に助けられながらも何度も池に飛びこんだり、凍えて死にかけます。でも、大好きなクマくんを助けたいハリネズミは、葉っぱにみちびかれて歩き出し、次第に白く光り輝きだして…。
このおはなしに出てくる雪の花≠ニは、どんな熱でも冷ますような結晶であり、ハリネズミが化身のなった命の結晶でもあり、友情の結晶でもあるのです。
お話の展開がダイナミックで、子どもの心にも力強く響くものがあるでしょう。 また、厳寒の森の様子は青の濃淡が美しく、動物たちは軽やかでとても可愛らしい。
モミの木を飾るというとクリスマスのイメージがありますが、ロシアでは大晦日に飾って新年を迎えるのですね。大切な人と一緒に新年を迎えられる幸せを感じさせてくれる本です。
この絵本を読んだ後は、ぬくぬくしたお布団で眠りたい! 冬のおはなし会のメインの1冊としてもおすすめです。 小学生くらいから。
(山田裕子 小学校司書)
もともとは、戯曲の物語「雪の花」の絵本化です。 おおみそか、1年の最後の日、森の動物たちは、もみの木を飾り、新年を迎えます。クマくんがきていないことに気づいて家にいってみると、熱を出して寝込んでいました。「こんなに高い熱だと『雪の花』がなくては助からんよ」と、キツツキ先生にいわれたハリネズミは、どこに咲いているかもわからない「雪の花」を探しに森に駆けだしていきました。 雪の森をどこまでもいくハリネズミ。松の木のおばさんが教えてくれて、森の奥の泉の中にとうとう雪の花を見つけます。ところが、どうやっても花をとることができません……。 美しい冬の森と魅力的なハリネズミをロシアの画家が描き下ろした日本オリジナルの絵本です。
光熱にうなされるクマくんの命を救うために、雪の中に飛び出したハリネズミくんでした。
凍えそうになりながら、たどり着いた雪の花に、自己犠牲精神のきらめきを見ました。
結果オーライの壮大な展開ですが、ハリネズミくんひとりの試練になっているところに、ロシアの風土性を感じました。 (ヒラP21さん 60代・その他の方 )
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