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人間の保育園に「あたらしい子」として入ってきたゾウのフンパーディンク。 なんで保育園に来たんだろう? 大きいジャングルのほうがぴったりなのに。 子どもたちは不思議がります。 フンパーディンクはずんずん部屋に入ってきて嬉しそう。
みんなはフンパーディンクと遊ぼうとします。 着せかえごっこや、かくれんぼ、美容師さんごっこ。 そして、大好きなすべりだい! でも大きなからだのフンパーディンクでは全然うまくいきません(あたまには毛もないしね……)。
フンパーディンクも子どもたちもしょんぼり。 そのとき、「フンパーディンクのすきなことを、みんなとしない?」と提案した子がいました。 さあ、歩き出したフンパーディンク……どこへ向かうのでしょうか?
素朴な線とやさしい色彩で描かれる保育園や遊び場。 小山のような体のゾウと、小さな子どもたち。 一緒に遊べることがうらやましくなっちゃう。
青山南さんの軽快な訳で、ゾウのフンパーディンクと友だちになって思い切り遊ぶ、楽しい世界に飛び込んでみてください! 子どもたちがあれこれ工夫しながら笑顔で遊ぶ姿に、あたたかい爽快感が残る絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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ある日保育園にやってきたのは、おおきなゾウのフンパーディンク。
にんげんの子どもたちとあそびたくて、次々やってはみるけれど…… みんなとちがうおおきな体では、なにひとつうまくできません。 しょんぼりするフンパーディンクに、女の子がそっと声をかけました。
ちがいを受け入れ、視野を広げることを教えてくれるお話。
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
ある日、保育園に新しいともだちが来ました。なんとぞうさんです。こどもたちは新しいものには興味津々、それもにこにこやさしいぞうさんでした。色々な遊びでぞうさんとなかよくしようとしますが、体が大きく、毛もなく、人間とは違うぞうさんとはうまくいきません。しかもみんなが一番大好きな、みんなで遊べるすべり台が壊れてしまう。ぞうさんもみんなもしょんぼりした瞬間、女の子がそっとぞうさんにゆだねてみます。
すると、ぞうさんはぞうさんのいいところをありったけ出します。しかも、自然に。ぞうさんの表情も一気に変わり、ぞうさんを中心としたこどもたちの結びつきが出来上がります。ぞうさんがリーダーのようにも見えますが、そうではなく、みながみな、みんながより楽しいものを求めて保育園の外に出ていきました。みんなが確実に成長、自分らしくなった素晴らしい瞬間でした。
ふりかえって初めの部屋を見ると、みな個々に遊んでいます。そしてみなを結びつけるのはすべり台でした。とっても楽しい、そのみんなを結びつけるすべり台が壊れてみんなが戸惑うのですが、そこはこどもの知恵で解決。自然の中でみんなで遊ぶのって最高だね!とみんな思いはじめました。いや、そうではなく、はじめからそれを求めていたのだと思います。
この絵本には大人が登場しません。こどもたちはこどもたちで解決できるんだよ、と教えてくれているようです。我々大人はこどもたちに関わりすぎなのかもしれません。おもちゃを与えるのでなく、自然に連れて行ってあげるのが一番なのでしょう。そしてその場でこどもたちは自分たちであそびを作り、育っていくのでしょう。
もう50歳間近のおじさんですが、こどもの頃からぞうが大好きでした。ぞうの絵本と言えば『まいごになったぞう』。ぞうのあかちゃんの姿が美しくて、今でも手元にあります。
今回それをしのぐようなぞうの絵本に出会いました。こどもどうしの結びつきを描いた、ものすごく素敵な絵本です。是非ともこどもたち、そしておとなたちにも読んでいただきたい絵本と思いました。 (twinkさん 40代・パパ 女の子7歳)
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