すみれ組はおゆうぎ会で『おおかみと7ひきのこやぎ』の劇をやることに。あかね先生から役が発表されます。おおかみの役はみんなで3人、けいたくんとひよりちゃん、それからまなちゃんです。おおかみ役がやりたかったかいくんは大騒ぎ。
「えー! ぼくが おおかみやりたい!」
一方、おおかみ役に決まったまなちゃんは静かに黙っているばかり。からだが小さいかいくんと、背の高いまなちゃん。反応も全く違うようです。練習が始まっても、かいくんはいつでも「おおかみ役」をやりたがり、まなちゃんはずっと黙ったまま。そのまま本番の日を迎えるのですが、直前になると大変なことに気がつきます。
「あれ? まなちゃんが いない!」
いったいどこへいったのでしょう。まなちゃんがずっと言いたかったことは、なんだったのでしょう……。
お話に合わせて、それぞれ違う役を演じるのがおゆうぎ会。色々な子どもたちがいるからこそ、みんながみんな自分の思う通りにいくとは限らないですよね。でも、大事なのは、どう向きあえるかってこと。自分の気持ちを確かめること。これって意外とむずかしい。
いやだと騒ぐかいくんと、何にも言えなかったまなちゃん。ふたりは本番直前に正面から向き合い、思いがぶつかり合うのです。すると正反対だったはずのふたりは、いつの間にか同じような笑顔になっていき。
子どもたちの「小さな小さな心の変化」を豊かな色彩感覚で見事に描き出すのは、注目の絵本作家、種村有希子さん。それぞれの性格まで見えてくるような繊細な表情の描き方も魅力的です。まなちゃんとかいくん、ふたりの続きのお話も見てみたくなってきますよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
もうすぐおゆうぎ会。すみれ組は、『おおかみと7ひきのこやぎ』の劇をすることになりました。あかね先生から、ひとりずつ役が発表されて、背の高いまなちゃんは、おおかみ役をすることになりました。
いっぽう、からだのちいさなかいくんは、強くてかっこいいおおかみ役がやりたくてたまりません。 「えー! ぼくがおおかみやりたい!」
ところが、何回練習しても、まなちゃんはだまったまま。かいくんがやきもきしているうちに、とうとう本番の前の日がやってきます。とびきりすてきな衣装を着て、みんなうきうき舞台にあがりますが……「あれ、まなちゃんがいない!」
正反対なふたりの、まっすぐな思いがぶつかって……。子どもたちの「ちがい」が「おなじ」にかわる瞬間を色彩ゆたかに描く、おゆうぎ会の絵本です。
この作品ではたくさんの個性を持つ子どもたちが描かれています。
主人公のまなちゃんは大人しくて、自分の考えをはっきり口に出すことが苦手だけど、かわいくないものは嫌い。
小柄で可愛い容姿のかいくんは、かっこいいオオカミ役がやりたい。
元気なけいたくんとひよりちゃんは、オオカミ役が楽しくてしょうがない。
ほかのクラスメイトの子どもたちも服の色で、かなり個性分けされてるのかなと思いました。
まなちゃんだけが常に青い服なんですよね。
最後のかいくんとまなちゃんのやり取りのシーン、好きです。
まなちゃんがいなくなってクラスのみんなが一生懸命探しているところも可愛いなぁとおもいました。
お遊戯会などやる頃に、この本のまなちゃんと同じくらいの年頃の子どもたちに読んであげたいです。 (てんぐざるさん 50代・ママ 女の子20歳)
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