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子どもって、大人が思うよりも大人のことをよく見ています。聞こえていないと思ったことでも、意外とよく聞いています。そんな言葉どこで覚えたんだろう?と思っていたら私の口癖だった、なんてことも……。
「ボク かあちゃんのこと なーんでも しってるよ」 と言うのは、子ぶたのお兄ちゃん。このお兄ちゃんも、お母さんのことをよく見ています。お母さんの行動から、次に言う言葉がわかるのです。でも、わかるからってその通りにするとは限りません。買い物に行ったとき、今日はお菓子は買わないよと言われても「どっちか いっこだけ」とおねだり。ちゃっかり買ってもらったお兄ちゃん。お母さんはお母さんで、お兄ちゃんがどう返事するのかわかっていたのかもしれませんね。
さて、買い物から帰ってきたお兄ちゃん。お母さんの代わりに洗濯物を取りこもうとしますが、失敗してしまいます。怒られるに違いないと思うのですが、果たして……。
お兄ちゃんを小わきに抱えたときのお母さんの頼もしさは、さすが! 立派にふるまってくれるのもうれしいけど、まだまだ子どもなんだからわがまま言ったり失敗したりしてもいいんだよと言っているような、お母さんの優しさが伝わってきます。
(近野明日花 絵本ナビライター)

ボク、かあちゃんのこと、なーんでもしってるよ。 かいものよー!おかたづけしてーっていうんでしょ。 スーパーのカートであそんじゃだめっていうんでしょ。 きょうはおかしはかわないよーっていうんでしょ。 ほーら、やっぱり。
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子豚のお兄ちゃんは、かあちゃんのことなら何でも知っています。
こうなったらああ言って、こうしたらこう言って。
そしてかあちゃんは、お兄ちゃんの予想通りに言うのです。
でも、一つだけ、お兄ちゃんの予想通りではなかったことがありました。
その予想通りでなかったことから、かあちゃんのお兄ちゃんへの深い愛情を感じます。
下の子のお世話で大変なかあちゃん。
それでもお兄ちゃんが大好きでいるのですから、きっとお兄ちゃんのこともこまめに気遣う素敵なかあちゃんなんでしょうね。
子どもにとっても親にとっても良い絵本のように感じました。
多くの方に読んでもらいたい一冊です。 (めむたんさん 40代・ママ 男の子20歳)
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