お百姓さんのうちの、お庭の小屋に住んでいるこぶた。彼は、食べるのも、駆けまわるのも、眠ることも好きですが、何よりも何よりも……やわらかーいどろんこの中に、座ったまま沈んでゆくことが好きなのでした。お百姓のおじさんとおばさんは、彼を「世界一可愛いこぶだ」だと言って、それはそれは可愛がっていたのです。
ところがある朝、おばさんが張り切って大掃除を始めます。最初は家の中だけだったのですが、そのうち外の汚さが気になって、牛小屋を、馬小屋を、鳥小屋までも大掃除していきます。そして、とうとうこぶたの大事な「どろんこ」を掃除機で吸い上げてしまったのです! 「こんなうち、ぴかぴかすぎて、つまらないや。」かんかんに怒ったこぶたは、うちを飛び出してしまいます。その先でこぶたが見つけたのは……。
ローベルの作品の中でも、特に小さな子どもたちにも人気のあるこのお話。その理由は、こぶたがどろんこ遊びをしている時の顔が、それはそれは嬉しそうだからに違いありません。好きなことをしている時の顔って、こういうものです。だけど、少しの行き違いで、大変な出来事が起きていきます。ハラハラしますよね。でも大丈夫なのです。だって、おじさんもおばさんも、やっぱりこぶたを愛していますから。
どろんこに入っているのが好きだなんて、ちょっと変? いえいえ、それこそが一番「こぶた」らしいですよね。ローベルの描く動物たちは、本当に魅力的です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
こぶたはどろんこが大好き。ズブッズブッとどろんこに沈んでいくときの、こぶたのうれしさがこちらにも伝わり、子どもたちの共感を呼びます。
この本は私が小さい時に大好きで
何回も何回も読み直した本!
その本をわが子と一緒に読めて
とっても感動でした。
おばさんの掃除機の絵、
豚小屋の前のどろんこ。
何十年ぶりに開いた本ですが、
記憶の奥にあったシーンが次々と、
目の前でよみがえって来ました。
どろんこがすきなんてへんなコブタですが、
とっても大切にされていて、
本当に心あたたまる本ですね。
時代を超えてもいい本はやっぱりいいもんだなあと
つくづく思いました。 (ムスカンさん 30代・ママ 男の子4歳)
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