森のそばで、ひとり貧しく暮らしていたマローンおばさん。誰一人おばさんを訪ねる人はなく、心にかける人もいない。 ある冬の月曜日、みすぼらしくて弱りはてたスズメが1羽、窓辺にやってきた。おばさんは「あんたの居場所くらい、ここにはあるよ」とスズメを抱いてつぶやいた。火曜日の朝、おなかをすかせ、棒切れのようにやせこけたネコが1匹やってきた。おばさんは「あんたの居場所くらい、ここにはあるよ」とネコをひざの上でさすってあげた。水曜日、6匹の子ギツネを連れた母さんギツネが座っていた。おばさんは「あんたがたの居場所くらいここにはあるよ」とキツネの親子を招き入れた……。
第1回国際アンデルセン賞受賞者である英国人児童文学作家・詩人エリナー・ファージョン(1881年‐1965年)の詩を翻訳、絵本化した作品。穏やかで簡潔な文体と落ち着いた黒のペン画とが、独り貧しい生活を送るマローンおばさんの大きくあたたかな心を描きます。訪ねてくる動物たちには心安らぐ居場所が与えられますが、おばさん自身の居場所は一体どこに? おばさんがロバの背に乗せられ動物たちと進むページ以降、後半はキリスト教色が濃く表れますが、時の流れがゆったりと感じられるその展開はとても象徴的。宗教を越えた人間のあり方を提示します。宝石のような輝きを持つ美しい冬の名作です。 ――(ブラウンあすか)
貧しくても分かち合う喜びを知っているマローンおばさんのもとには、傷つき弱った動物たちが集まってきます。イギリス児童文学界を代表する、エリナー・ファージョンとエドワード・アーディゾーニのコンビが贈る詩物語。
世間から隔絶され、貧乏で孤独なマローンおばさん。
老いるということはこういうことなのでしょうか。
招き入れた動物たちが唯一の救い。
愛情を受けた動物たちにみとられてマローンおばさんは天国に旅立ちます。
崇高な詩ではあるけれど、なんだかジーンとしてしまいました。
マローンおばさんは、動物たちに見守られて幸せだったのだろうか。
せめて息を引き取るところにいてくれたことが、救いではあったとは思うけれど。
(ヒラP21さん 50代・パパ )
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