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よし子はまだひな人形を持っていない。お母さんが規格品を買い与える気になれないからです。ひなまつりを通して母と子の心の交流をすがすがしく描いた童話。
戦争直後くらいに生まれた女の子が主人公なので、おひなさまが「七千五百円」で「たか〜い」と言うなどちょっと古い感じがするエピソードがでてきます。
でも、空襲で焼けてしまったおひなさまを母親が大切に思っている心と、主人公がだんだんその気持ちを理解し、思いやりをもって母親を見るようになる過程が心を温めてくれます。
父親のいない家庭ですが、母子家庭独特のやさしさを感じられます。それは、少し冷たい風の中、日差しが暖かくなってくる今と温度が似ています。そういう意味でもお雛さまの時期にふさわしいお話と思いました。 (佐保姫さん 30代・ママ 女の子3歳)
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