ぷくーっとした丸っこい体に太い線が頭から一本、のへんないきものと、赤い服を着たキュートな女の子の組合せ。それだけで気になってしょうがない。以前図書館で見かけて忘れられなかったこの本、絶版になっていたらしい。この度新しく復刊されて再会、うれしい! 作者は大好きな「ぞうのババール」のロラン・ド・ブリュノフ(息子の方)、気になる生き物を描かせたら天下一品(と私は思ってます。)、どうりで。 女の子の名前はエミリ。あかいやまのふもとに住んでいます。あかいやまには頂上に木が一本だけ生えていて、エミリがぼうえんきょうで覗くと、いつもあたまにながい「とげ」がひょろっと生えたそのおとこのこが座っているのです。ある日、エミリは決心し、あかいやまを一人で登り、おとこのこに会いに行きます。エミリはその子を「ボノム」と呼び、すっかり打ち解けた二人は楽しいときを過ごします。 その頃、家では両親がエミリを探していました。まさかあかいやまをひとりで登るなんて考えつかなかったのです。市長さんに相談し、警官まで出動、大騒ぎになりボノムはつかまってしまいます。エミリの必死の説得で「頭のとげに栓をする」という変な約束でやっと家に連れて帰ることができたのでした。そしてその夜、ボノムはエミリの家族とゆっくり過ごします。そして・・・。 可愛らしくて、ちょっと切ない気持ちにさせられるこのお話。でも読んだ後、、それぞれが自立した、とても大人っぽいフランスらしい絵本だなぁ、と思いました。例えば、エミリは全て自分で考えて行動します。自分で友達を見つけ、自分で会いに行き、その後の付き合い方も自分で考えた結果なのです。もちろんボノムは自分がどうしたらいいか一番良く知っている様です。そしてそれをそっと見守る両親。子供が読んだ後、そんな部分にちょっとでも反応してくれたらいいな、と思える本です。 それにしても、正体の解らないものに対応する大人の姿が一番滑稽ですね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
「ババールとりのしまへ」など「ぞうのババール」シリーズでおなじみのL・ブリュノフの傑作絵本!
ボノムってどんな子なのでしょう。
人間として認められない生き物だから、トゲの危険性を感じたおとなたちは檻に入れてしまおうとします。
条件つきでエミリの家で暮らすことになったボノムですが、すべてをともにするようなそんざいではありません、
やっぱり山で暮らすのが一番だから、帰ってしまいます。
ボノムにいろんなイメージを被せて、大切な何かを感じる絵本かもしれません。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
そよ風のような絵本でした。 この絵本で一番大切なポイントは『ボノム』という呼び名です。これはフランス語で、“ちいさなおとこのこ”という意味だそうです。 作者はなんと『ぞうのババール』シリーズを描いたジャン・ド・ブリュノフの長男です。 そっくりではないにしろ。優しい絵柄のタッチは、父親譲りなんだなぁと、感じずに入られませんでした。
主人公エミリが望遠鏡で見つけた山に住んでいる「小さな男の子」ボノムは、とても不思議な生き物。 「おばけのバーバパパ」や「ぞうのババール」を彷彿させます。 そよ風のような優しい絵本でした。 (てんぐざるさん 30代・埼玉県久喜市 女9歳、女5歳)
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