「かぜのでんしゃ」に乗っているのはたんぽぽの綿毛たち。 新しい明日に向かって出発し、自分で降りる場所を決めるのです。 それは深い森、暗い谷、海、野原、どこかのうちの窓辺・・・降りた場所に根をはり、黄色く明るい花を咲かせます。「どこに咲いたらいいのかわからない」最後の綿毛が降りた場所は?
ふわふわと舞い降りる綿毛たちや一面に花を咲かせた大地など、葉祥明さんの描く絵はどこまでも美しく、透明な空気感にあふれています。だけど同時に、どこの場面からもとても強い意志を感じずにはいられません。例え降りる場所がどこであろうと、その場所に根ざし花を咲かせる。そして、そこにいる動物たちや人の心をあたためる・・・私にはそれが子どもたちの存在そのものに見えるのです。 いるだけでまわりを照らしてくれる「明るさ」と「生命力」、それが子どもたち。今こんな時代だからこそ、改めてこの作品から感じ取ってしまうのかもしれません。 もしどこに進めばいいのか、どこに降り立てばいいのか迷ったとしても、あなたの存在は必ず必要とされている・・・この絵本を読む子どもたちみんなにそう伝わると嬉しいです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
風に吹かれて飛んでいく、たんぽぽの綿毛。深い森、暗い谷、青い海、広い野原、日差しの窓辺。
あちこちを、飛び回って、飛び回って、根を下ろし、花を咲かせる仲間たち。
一番最後に「かぜのでんしゃ」にから降りた綿毛が花をさかせるのは、いったいどこ?
葉さんの作品だったのでこの絵本を選びました。やさしい描き方にこおろが暖かくなりました。仲間と一緒にいる綿毛のわららかな笑顔が心に残りました。字がないページもとてもインパクトがありました。植物の生命力を感じられる絵本でした。 (なびころさん 30代・ママ 女の子4歳)
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