高野優さんと言えば、子育てマンガ&エッセイの第一人者。子育ての楽しみ方や、肩の力の抜き方、私も出産の時には助けられた覚えがあります。
そんな高野優さんの初めての絵本というのが『よっつめの約束』。 「ぼく、もう 寝ないことにした」という小さな男の子が登場します。 眠くなる目を一生懸命開けて、寝ないようにがんばっている。 そして今度は「笑わない」と決めたという。 どうしたのでしょう・・・。 そんな弟の心配をするお姉ちゃんもまた、とても悲しい顔をしているのです。
「二人は愛する家族との別れ」という、抱えきれないほどの大きな悲しみと対面しているのです。 お姉ちゃんは大好きなパパとの大事な約束、その最後の4つめを思い出せないでいるのです。
言葉少ない子どもたちの視線で描かれるその感情は、とてもリアルで胸に迫ってきます。 笑ったり泣いたりしちゃいけない、 忘れるのが怖いから寝たくない、 そんな風に思っているなんて・・・。 悲しみというのは、残念ながら大人にも子どもにも平等にやってきてしまうものなんです。 でもそこに一つの答えを差し出してくれたのは、やっぱり大好きなパパ。 ふとした瞬間に思い出したその約束とはね。
どこかに同じ様な思いをしている子どもたちがいたとしたら。 感情を思いきり出せばいい。悲しいときは泣いてもいい。 その悲しみと共にゆっくりと歩きはじめればいい。 高野さんの切実な、でも優しさにあふれた大きな感情がこの絵本の中から伝わってきます。
たくさんの方にこの想いが届くことを願います。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
子育てマンガ&エッセイの第一人者・高野優が贈る、はじめての絵本。子どもの視点で、愛する家族との別れと、悲しみからの再生を描く、希望の物語。
お姉ちゃんは、保育園児の弟を心配そうに見守っています。 幼い弟は、自ら「寝ない」と決め、「笑わない」と決め、むずかしい顔で毎日を過ごしているのです。 そのわけをお姉ちゃんはことばにならないけれど、感じています。
お姉ちゃん自身は、パパとかわした「よっつの約束」の、さいごのひとつが思い出せなくて悩んでいます。 ひとつめは「自分をたいせつにね」。 ふたつめは「まわりの人をたいせつにね」。 みっつめは「大人になったら、人にありがとうといわれるような仕事につくといいね」。 そして、だいじなよっつめの約束は…?
人生には時として、受け止めきれないほどつらいできごとが起こります。 この物語の幼いきょうだいも、過酷な現実の前に立ちすくんでいます。 しかし、そのやわらかく幼い心には、しっかりと「約束」が残っていました。 そして、子どもたちは、「約束」を胸に、ゆっくりと立ち上がり、自らの足で歩きはじめるのです。
こんな絵本を読んでしまったら、お父さんは涙の海でおぼれてしまうのではないでしょうか。
弟が一生懸命我慢しているのは何故
私がお父さんとの約束の4番目を思い出せないのは何故?
お父さんが死んでしまって、残された子どもたち。
その子どもたちが、お父さんに向ける愛情をむき出しにしているのです。
心の中がこうであったら、父親冥利以外の何物でもなく、この子どもたちのために元気でいなくてはいけない。
そう思った自分です。
4番目の約束。
自分の名前を好きでいた欲しい。
自分も子どもの名前に親としての全力投球をしたから、思いがいっぱい詰まっているのです。
自分が死んでも、自分を思い出してほしい。
子どもの名前には親の思いが込められているのです。
なんだか、お父さんのために書かれたお話ですね。
お父さんたち、頑張ろう!! (ヒラP21さん 50代・パパ )
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