|

「堅雪かんこ、しみ雪しんこ」雪がすっかり凍った夜、四郎とかん子が小さな雪沓をはいて、歌いながら歩いていくと、森の中から子狐の紺三郎が出てきて、歌に入ってきます。二人は、紺三郎と友達になり、狐小学校の幻燈会に招待されました。月のきれいな晩、森の木の枝に白い敷布がかけられ、いよいよ幻燈会が始まります・・・。色彩を多く使わない黒と白の幻想的な世界がなんとも美しい1冊。

宮沢賢治の物語を絵にするとき、どのような絵がマッチするのだろうかと思うのです。
いろいろな画家が描いていて、それぞれの世界を作っているのですが、方緒良さんの絵を見て、『雪わたり』はこれだと思いました。
幻想のような物語は、現実感と遠いイリュージョンの世界です。
方緒さんは、物語を絵の中に溶け込ませず、アウトフォーカスのモノクロの世界に四郎とかん子とキツネを遊ばせています。
昔懐かしい幻燈の世界にぴったりだと思います。
あまり絵本を描いている作家ではないようですが、この物語については、効果的に饒舌に宮沢賢治の物語を描いていると思います。
ただ、これは読み聞かせするより、自分で味わう絵本のような気がしました。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
|