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絵本紹介
2023.09.14
澄んだ空と地上を明るく照らす美しい月。古くは貴族の習慣だった「お月見」は、江戸時代に庶民に広がり、稲の収穫がはじまる時期に秋の農作物をお供えして、実りへの感謝と翌年の豊作を祈る行事になったそうです。
稲穂に見立てたススキは、邪気や魔よけの意味を持ち、また月の神様をお招きするより代に。満月に見立てたお団子はもちろん、里芋や栗、ぶどうをお供えしてもいいですね。
2023年の中秋の名月は9月29日。また、この日は満月です。古くから日本で大事にされてきた行事に、まずは絵本で楽しく触れてみるのはいかがでしょうか。
『10ぴきのかえるのおつきみ』、『14ひきのおつきみ』では、お団子やススキ、お月見台を用意して……物語を通じて、お月見の準備をおさらいです。『おつきみ』や『おつきさまでたよ』では、雲が月を隠してしまってドキドキ!『ぼく、お月さまとはなしたよ』みたいに、お月さまとお話ししたくなっちゃうかも。
厳しい夏を迎えた今年は、頑張って育った野菜やお米に感謝の気持ちがいっそう強くなります。自然を慈しむ心も、きっと絵本から伝わるはず。さあ、絵本の中のみんなと一緒に、お月見を楽しみましょう。
出版社からの内容紹介
世代を超えて愛され続ける「10ぴきのかえる」シリーズ、秋の読み聞かせにぴったりの1冊!
秋が近づいた夜のこと。ひょうたん沼では、10ぴきのかえるがお月見を心待ちにしています。みんなでお月見をするために、うしがえるさんやけろこちゃんに、招待状を出しました。
そして、いよいよお月見の日。今年は、10ぴきのかえるがすすきのはらに、すすきを取りに行くことになりました。ばったに道案内をしてもらい、すすきのはらに到着! 10ぴきのかえるは、みんなで協力して、一生懸命すすきをとりました。
ところが、帰り道のこと……。みんなですすきをかついでいると、なんとっ、まちがえるがお昼寝中のへびのしっぽを踏んでしまったのです。にげろ、にげろ、けろ、けろ、けろ! 10ぴきのかえるは、へびから逃げようとみんなで力を合わせます!
すすきを飾り、お月様にお団子をおそなえする――元気なお話のなかから秋の風習が伝わる絵本。
この書籍を作った人
1938年、東京都生まれ。第1回日本童話会賞、詩集『山が近い日』(理論社)で第13回野間児童文芸賞推奨作品賞を受賞。主な作品に、「10ぴきのかえる」シリーズ(絵:仲川道子/PHP研究所)、「ころわん」シリーズ(絵:黒井健/ひさかたチャイルド)、『クリスマスにくつしたをさげるわけ』(絵:ふりやかよこ/教育画劇)『くっきーだあいすき』(絵:岩村和朗/金の星社)などがある。2019年死去。
この書籍を作った人
1948年、東京都生まれ。主な作品として、絵本に「パオちゃん」シリーズ、「10ぴきのかえる」シリーズ(ともにPHP研究所)、『ころちゃんはだんごむし』をはじめとする「かわいいむしのえほん」シリーズ(童心社)、紙芝居に「コッコおばさん」シリーズ(童心社)などがある。
みどころ
今夜は十五夜。えっちゃんは、朝からおかあさんのお手伝い。
「おつきさんに そなえる おだんごを つくるのよ」
「いそがしい いそがしい」とおだんごを丸めています。
横で見ている子猫のミュウはちょっぴり不満気。
「ぼくだって いそがしい」とつぶやいています。
おだんごもたくさんできたし、野原にいってすすきの穂ももらってきたし、お供えの柿、栗、ぶどうも用意しましたよ。準備は万端です。
それなのに空には大きな雲が広がって、どっかりと動かなくなりました。
お月見ができなくなる、と、えっちゃんが心配していると、となりの部屋で物音がします……。
なんと、ミュウが青いハチマキしめて、「いそがしい、いそがしい」とおもちゃばこからおもちゃをぽいぽい投げ出しているのです。
ミュウはなぜいそがしがっているのでしょう?
「はたらいてますよ」「さあ、えっちゃんも、のって」ですって。
ミュウがハンドルをにぎって、おもちゃばこにのった二人はどこへ行くの?
繊細なぼかしが美しい、黒井健さんの絵を堪能できる絵本。
ページいっぱいに描かれた空や、空中から見おろすコスモス畑。
すすきがたなびき、夕焼け雲がうかぶ……秋らしさいっぱいの絵が素敵です。
あまんきみこさんの文は、おばあちゃんが耳元でそっとお話をしてくれているような、味わいがあります。
ミュウの登場が作品にユーモアを加えています。
しっとりとしたファンタジーのお月見絵本。
「でかぐもさん」「かぜっこ」が登場する場面は、思わず見入ってしまいますよ。
あまんきみこさん、黒井健さんからの、秋の贈り物のような絵本です。
この書籍を作った人
1931年満州に生まれる。坪田譲治主催の童話雑誌「びわの実学校」の同人となり、1968年『車のいろは空のいろ』で第1回日本児童文学者協会新人賞、第6回野間児童文芸推奨作品賞を受賞。作品に『おにたのぼうし』(ポプラ社刊)『きつねのみちは天のみち』(大日本図書刊)『ふうたのはなまつり』(あかね書房刊)他多数。エッセイ集に『空の絵本』(童心社刊)がある。京都府在住。
この書籍を作った人
1947年新潟県生まれ。新潟大学教育学部中等美術科卒業。児童出版美術家連盟会員。主な作品に『ゆきのひのころわん』他ころわんシリーズ(ひさかたチャイルド刊)『手ぶくろを買いに』『ごんぎつね』(偕成社)『おかあさんの目』(あかね書房)他多数の作品がある。
出版社からの内容紹介
秋になって稲穂が実り、野菜もたくさんとれました。それを喜ぶ村人たち。山のたぬきも大喜びです。さあ今日はお月見の夜です。お月様は喜んでくれるでしょうか?
この書籍を作った人
1941年福岡県大牟田市生まれ。個性的な文体で独自の世界を展開。『さかさまライオン』(童心社)で絵本にっぽん大賞、『うそつきのつき』(文渓堂)で小学館児童出版文化賞、『がたごと がたごと』(童心社)で日本絵本賞を受賞。絵本の他にも、読み物、詩集など作品多数。他の主な作品に「おれたち、ともだち!」シリーズ(偕成社)、『かあさんのこころ』(佼成出版社)、『とってもいいこと』(クレヨンハウス)、『ぽんぽん』(鈴木出版)などがある。
この書籍を作った人
1972年、愛媛県松山市に生まれる。大阪デザイナー専門学校編集デザインコース絵本科卒。「あとさき塾」「メリーゴーランド絵本塾」で絵本を学ぶ。作品に『アブナイかえりみち』『アブナイおふろやさん』『祗園精舎』(ほるぷ出版)『ちゃんがら町』『十二支のおはなし』『がっこういこうぜ!』『おばけのきもだめし』(岩崎書店)『雪窓』『本所ななふしぎ』『学校ななふしぎ』(偕成社)『むしプロ』 『カイジュウゴッコ』(教育画劇)『ぬ〜くぬく』(農文協)『にんじゃつばめ丸』(ブロンズ新社) 『えかきのチャーリーひみつのかべ』(イースト・プレス)『いっすんぼうし』(あかね書房)『はのはのはなし』(アリス館)などがある。
出版社からの内容紹介
「セブンの行事えほん」シリーズの新作!
空からやってきたセブンが、
十五夜やお月見について、コミカルに解説します。
ヒーローなのにおっちょこちょいなセブンは
子ども達に愛されること間違いなし!
月の満ち欠け、お月見だんごの作り方、月にまつわる伝説まで、
お月見行事について詳しく載っています。
巻末には月の満ち欠けを取り入れたすごろく付き!
もとしたさんのユーモア溢れる文章、
ふくださんの表情豊かなセブンや子ども達の絵にもご注目ください。
この書籍を作った人
絵本・童話作家。 編集者、ライターなどを経て子ども向け作品を書き始める。 『どうぶつゆうびん』(あべ弘士・絵 講談社)で産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、『ふってきました』(石井聖岳・絵 講談社)で日本絵本賞、講談社出版文化賞絵本賞を受賞。そのほか絵本に「セブンの行事えほん」シリーズ(ふくだいわお・絵 世界文化社)、「すっぽんぽんのすけ」シリーズ(荒井良二・絵 鈴木出版)、「狂言えほん」シリーズ(講談社)、『おいなりさん』(中川学・絵 アリス館)、童話に「おばけのバケロン」シリーズ(つじむらあゆこ・絵 ポプラ社)、『うめちゃんとたらこちゃん』(田中六大・絵 講談社)などがある。絵本とおやつについて綴ったエッセイ『レモンパイはメレンゲの彼方へ』(ホーム社)も好評。
この書籍を作った人
1950年岡山生まれのかに座。 『がたたんたん』(ひさかたチャイルド)で絵本にっぽん賞受賞。 絵本に、『おならばんざい』(ポプラ社)、『ぼくだけのおにいちゃん』(文研出版)、『いただきまーす!』(フレーベル館)、『花さかじい』(くもん出版)、『いっぴきおおかみのそろり』(教育画劇)などがあり、挿絵には、『ジュン先生がやってきた!』(新日本出版社)、『吹きぬけの青い空』(学研教育出版)、『ひみつの空のにわ』(大日本図書)、『リタイア犬ポリーの明日』(佼成出版社)などがある。
みどころ
色づいた葉と、どんぐりの実の揺れる太い樫の木を登り、ねずみながらの小技を使ってお月見台作りに奮闘する子供たちの姿が、実に生き生きとしています。その光景を木の上から描写した構成は立体的で、まるで迷路を見ているかのよう。「自分たちも上ってみたい」と、うらやむ小さな読者も、きっといることでしょう。
夕日が沈み、満月が昇る場面は壮観です。ススキを飾り、月見だんごをお供えするお月見の風習を知ることができますね。
自然の気高さと、自然と共存する美しさが描かれた、日本の秋がいっぱいの作品です。
――(ブラウンあすか)
この書籍を作った人
1939年東京生まれ。東京芸術大学工芸科卒。主な作品に『14ひきのあさごはん』(絵本にっぽん賞)など「14ひきのシリーズ」、エリック・カールとの合作絵本『どこへいくの?To See My Friend!』(童心社/アメリカ、ペアレンツチョイス賞)、『ひとりぼっちのさいしゅうれっしゃ』(偕成社/サンケイ児童出版文化賞)、『かんがえるカエルくん』(福音館書店/講談社出版文化賞絵本賞)、「トガリ山のぼうけん」シリーズ、「ゆうひの丘のなかま」シリーズ(理論社)などがある。98年栃木県馬頭町(現・那珂川町)に「いわむらかずお絵本の丘美術館」を開館、絵本・自然・こどもをテーマに活動を続けている。栃木県益子町在住。
みどころ
「やまびこ」という自然現象がユーモラスに描かれた、可愛らしいクマくんのお話です。まったく同じ返事が戻ってきても、クマくんはそれがやまびことは知らず楽しく会話を続けます。一見、こっけいな光景に思えるかもしれませんが、静かな月夜にたたずむクマくんの、純粋で一生懸命な姿に魅了される読者も多いことでしょう。お月さまと話すときのクマくんの表情には、平安が満ちています。お月さまへの贈り物は、一体何だったのでしょう。それは、クマくんが欲しかったものでもありました。落ち着いた青が基調のイラストからは、月夜の静けさが伝わってきます。
――(ブラウンあすか)
出版社からの内容紹介
おつきみのしたくができました。おおはらぽんたは、おだんごのばんをしながら、月の出をまっていましたが……。
この書籍を作った人
1928年東京都生まれ。戦後早稲田大学に入学し"早大童話会"に所属、創作童話を志す。56年に「ぞうのたまごのたまごやき」を発表。以来「ぼくは王さま」シリーズをライフワークとして書き続ける。61年『ぼくは王さま』で毎日出版文化賞受賞。80年『あいうえおうさま』で絵本にっぽん賞受賞。84年「独特のナンセンステールズで、子どもの文学の世界を広げた」功績により巌谷小波文芸賞受賞。「寺村輝夫のとんちばなし・むかしばなし」「おはなしりょうりきょうしつ」「わかったさんのおかし」「かいぞくポケット」など、子どもに人気のシリーズが多い。2006年没。
この書籍を作った人
兵庫県生まれ。金沢美術工芸大学卒業後、教員生活を経て絵本の世界に入り、独自のはり絵の手法を用いて、繊細で心温まる世界を展開している。『ねこのえほん』(講談社)『そばのはながさいたひ』(佼成出版社)で2年連続でボローニャ国際児童図書展エルバ賞受賞。『いもとようこ うたの絵本T』(講談社)で同グラフィック賞受賞。
文:栗田奈緒子 編集:木村春子