むかし、アイウエ王国という国がありました。そのとなりには、カキクケ公国という国があって…。
五十音で作った物語。多少苦しさを感じたけれど、まとめ上げがうまい。
アイウエ王とカキクケ公の戦い。
息子自身が小学校で下級生クラスのクラスで読み聞かせをしたそうな。
で、絵に何か懐かしい感じがしてよく見ると、ストーリーの前後の劇場風景。楽団がいて、客席の女性の髪形…。これは活弁の世界だ。
この絵本は、昔懐かしい活劇の世界。
と、思った時にこの絵本のすごさを見つけました。
原案の武井武雄さん、文と絵の三芳悌吉さん共に明治生まれ。
原案はなんと大正時代に書かれた童話とのこと。
それを基に活動写真の記憶の中に取り込んで三芳さんが作品にしたのが本人七十歳。
それを考えると、なんと素晴らしい作品ではないでしょうか。
言葉遊びと、活劇のコラボレーション。どちらも子どもの通り道。
子どもが楽しんでくれるのだから、中途半端な評価はいけないと思いました。
現代絵本の味わいとはまた別の、芯の通ったものを感じます。
この本が出た翌年に武井さんは亡くなりました。
この作品を目にしてホッとしたのでしょうか。
渋いながらも、これからにつながる名作だと思います。
なにせアイウエオはなくなることのない、子どもたちの必須アイテムですから。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子12歳)
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