『おこだでませんように』や『メガネをかけたら』など、 リアルな子どもの気持ちをストレートに描き、 多くの読者の共感を呼ぶ、作家・くすのきしげのりさん。
くすのきさんの描く子どもの中でも、 「いるいるいる〜〜!」と身近な誰かを思い浮かべて、 ニヤニヤしてしまうくらいリアルなのが、 おバカで、ゲンキで、単純なところが魅力的な男の子たち。 今回も“バカカワイイ”小学生トリオ、 サトシとシンゴとマサトが主人公の絵本です。
夏休みに学校のプールにやって来た3人。 水に顔をつけられないシンゴは、 サトシとマサトに声をかけて、1人で練習をしようとします。 女の子同士ならこんなとき、他の場所で遊んだりしそうですが、 そこは男の子、「手伝ってやろう!」とシンゴの顔に水をかけはじめます。 最初は軽い水のかけ合い、じゃれ合いが、どんどんエスカレートしていって…。 「やめろ、スカタン!」 本気で怒ったシンゴの声がプール中に響きます。 プールから飛び出したシンゴをあわてて追いかけるマサトとサトシ、 怒りが収まらないシンゴに、マサトが伝えた驚きのカミングアウトとは…。
教訓めいたエピソードは一切なく、3人の日常のワンシーンを切り取ったような本作品。 30分後にはまた「やめろ、スカタン!」と3人のうちの誰かが怒り出す様子が 簡単にイメージできてしまいます。 そこが、男同士の友情の良いところですよね。
文章のくすのきしげのりさん、絵の羽尻利門さんは共に徳島県在住。 絵本の中にはお二人の愛する徳島の景色が随所に描かれています。 夏に味わいたい、カラッと晴れた友情絵本です。
(木村春子 絵本ナビライター)
けんかから始まるスカタンな友情 夏休みのプール、少年たちは、悪ふざけが過ぎて友だちを怒らせてしまう。 「やめろ、スカタン!」 怒った声がプールに響き渡り、少年は飛び出していってしまいます。ケンカの原因は、水かけっこ。 「どうしよう〜? そんなつもりではなかったのに」 やり過ぎてけんかしてしまうスカタンな関係は、大事な友達との友情をはぐくむすてきな関係です。怒った少年と怒らせた少年の微妙な気持ちが、伝わってくる仲直りの物語。 「スカタン!」とは、見当ちがいだったり、場にそぐわないこと、またはそういうことをやってしまった人のことをさして使われます。
子供の頃のこういう経験ってとても大切なんだな〜と親として思う絵本でした。
相手と自分との微妙な気持ちの違いが「スカタン」を起こしてしまう。
もう一歩手前で止めておいたらこんなことにはならなかったのに。
その線引きの難しさといいますか,わかりますね(笑)。
大人になったらなかなか「スカタン」と言いえある関係は難しいです。
気持ちでは怒ったり腹が立ってもいてもそれを正直には出せない。何気なく距離を置く関係になることを決めるくらいですもの。
「スカタン」と言い合え笑って仲直りできる子供時代って何て愛おしいのでしょう!羨ましいものですね。 (まゆみんみんさん 30代・ママ 女の子5歳)
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