あまたろうは、江戸の町で評判の菓子屋「あんこや」の跡取り息子。 毎日ぶらぶらと町を歩き、いっこうに働こうとはしません。
見かねた父親は、あまたろうを座らせて説教をします。 「このさき どうやって、くらしていく つもりなんだい」 ところが、あまたろうときたら、説教の中で言われた「棚からぼたもち」という言葉が気になって仕方がありません。そうです、「棚からぼたもち」と言えば「何の努力もしないのに、思いかけずいいことがある」ってこと。「おとっつぁん、その『たなから ぼたもち』っていうのが、ほんとうにあるのか ないのか、ためしてみようよ。」と言い出す始末。 そんな様子を見て父親は「よし、やってみよう」と言い・・・。
物語はよく知られていることわざを軸に進んでいきます。意外なことにぼたもちを一から作ることから始まるのです。知らず知らずのうちにぼたもち作りに夢中になっていくあまたろう、やっぱり関心や興味は子どもの「なまけグセ」を上回るのでしょうか。
江戸時代の職人の家を舞台に丁寧に描かれたこのお話。澤野秋文さんの絵がぴったりマッチしていて、読者を最初から最後までしっかり楽しませてくれます。 なまけものだけどお茶目なあまたろう、真面目だけど大らかに息子を見守る父親。そんな二人の心が通い合う瞬間を見るのは最高です。 「働くっておもしろい」 読み終わった後、そんな言葉が素直に出てきちゃいそうですね。
さて、肝心の実験の結果はどうなったのでしょう。 そちらも気になるところです。お楽しみに・・・
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
江戸の町で、評判の菓子屋さん。その跡取り息子あまたろうはのんびりやのなまけもの。とうとう、父親に「このさき、どうやってくらしていくつもりだい?」と叱られてしまいます……。 よく知られたことわざから生まれた愉快な物語。牡丹餅つくりの様子や仕事の丁寧さ、作り手の誇りをユニークに描きだした絵本。
江戸時代のおかしや「あんこや」でのお話。
遊んでばかりの息子あまたろうが
ことわざ「たなからぼたもち」を実際に試したいと言い出します。
父親は呆れながらも、何かを思いついて、やってみることに・・・
大好きな澤野さんが絵を担当、
テーマ(楽しく働く心)にも惹かれて、購入しました。大正解☆
澤野さんの味わい深い絵、和のテイストが
この時代の雰囲気と和菓子屋さんにぴったり。
お茶目なあまたろうやネコ、行き交う人々やお客さん、
それに雑貨小物などが遊び心をもって描かれています。
あまたろうの服、カッパもいたり、大福が・・・
(全て書いたら面白さ半減なのでやめておきます)
読み聞かせのコツなど小冊子でついていたり、何度も見返せて発見があり。
この細かさ、親子でハマります☆
商品を買う人、食べる人が表情豊かにたくさん出てきて
そこがとてもいいな〜と思います。
和菓子と食す人の見返しで
物語をサンドイッチしてあるのもいいです☆
あまたろうの継いだ仕事はこんなにも人に喜ばれるんだと、
親子でほのぼの感じます。
「このお菓子、食べたいね」「これは誰かな?」
会話もたくさん広がりました。
「あんこや」が舞台だから実現するオモシロ実験。
昔の設定だけど、そんなお話も、絵もコミカルなので、
子どもにも読みやすく、すごくウケます。
お話を読みだすと「あまたろうは子どもなのに働かなきゃいけないの?」、
ネズミのアシストに「たなからぼたもちだーーー!!」、
6歳の娘もいつになく身を乗り出して聞き入ってくれました。
この、うちのあまたろうさんにも響くものがあったかな。
仕事への漠然とした不安を、期待や楽しみへと、
「あんこや」親子が変えてくれそうです。
思いがけないところで、本をきっかけに娘はことわざに興味を持ちました!
そう、「たなからぼたもち」は、
うちでは文句なしに面白くって、ためになる絵本☆
これからも親子で繰り返し楽しみたいです。 (ととくろさん 30代・ママ 女の子6歳、女の子2歳)
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