少年の「ぼく」が主人公です。ある日のこと、「たしかに ぼくは ここにいるんだけど そのぼくは ぼくじゃないみたいなんだ」と思うのです。そうなる と壁紙の風船模様も子どもっぽいし、友だちのジャックが来ても、いつもするビー玉遊びなんかしたくない。「また遊ぶ?」と聞かれても「たぶん遊ばない」と 素気ない。部屋のおもちゃももういらない。それまで面白いと思わなかった貝に興味がでて、図書館で調べてみたくなる。おもちゃをぜんぶ箱の中にしまうと、 なんかさっぱりして、「パンダや、カードや、ビー玉で あそんでいた今までの僕は、いなくなった。そして、僕は いま ここに いる僕は―あたらしい僕な んだ」 と終ります。
河合隼雄さんが絶賛してくださった絵本。
「ぼくは ぼくじゃないみたい」体験は、子どもが自己実現に向かって成長する一つの段階なのです。
たしかに ぼくは ここにいるんだけど
そのぼくは ぼくじゃないみたいなんだ
ある日、ふとそう思い始めると自分の周りの物全てが違って見える。 好みも遊びも、そして今までの自分自身の存在までも・・・。 大人の階段を上り始めた一人の少年の心の成長をリアルに映し出した一冊です。 「もう 子どもじゃないんだ!」 という少年の心の叫びが静かに響いてきました。 子どもの頃(実はついさっきまでの自分)の がらくた(思い出の品々)を箱にしまい込んで、今までの自分を「いなくなった」とするこのストーリー展開には、「それは 寂しすぎるよ」と言いたくなるような、なんとも切ない思いでしたが・・・。 同著者の 「おとなになる日」とあわせて読んでみてください。 思春期を迎える頃の子どもには、共感できるのかも・・。 (かざぐるまさん 30代・ママ 男の子10歳、男の子8歳)
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