ロアルド・ダールの傑作童話『おばけ桃の冒険』を映画化した、ディズニーの「ジャイアント ピーチ」。そのアニメ部分を担当した画家L.スミスが、映画のイメージをもとに新たに描きおろした“おばけ桃の世界”。ときに不気味、ときにユーモラス、ファンタジックな魅力あふれる絵本。
ジェームズ・ヘンリー・トロッターは大好きなパパとママと死に別れ、意地悪なおばさん2人の住む家で暮らすことになった。ある日、不思議な老人がやって来て、緑色のものがつまった袋をジェームズに渡し、「すばらしいことがおこるよ」と一言。ところが、ジェームズはつまずいて、丘のてっぺんに立っている古い桃の木の根元に袋の中身をぶちまけてしまい……、大きなおばけ桃が現れる。陰気なおばたちとの生活に嫌気がさしていたジェームズは、桃の種をとりまいていた6匹の巨大な昆虫たちとニューヨークを目指して旅に出ることに。でも、後を追ってくるのは意地悪なおば2人……。
ダールの原作『おばけ桃の冒険』はディズニー映画『ジェームズ&ジャイアント・ピーチ』となり、多くの子供たちを喜ばせました。息子も本作品は映画の方が先。前書きで、絵を描いたスミスと文を書いたカークパトリックが、ダールに心から敬意を表したいとし、「もし彼が、このおばけ桃のすばらしく楽しい物語を書いてくれなかったら、映画なんてできていなかったし、その映画に基づいた、この絵本なんて存在しなかったんだから」と言っています。そんなわけで、絵本はどうだろうかと思い読んでみました。スミスのイラストに引かれたこともあり……。息子は映画にはない場面が絵本にあると言っていました。なかなか、あの流れるようなスピード感いっぱいの映画を絵本にするというのは難しいことです。各エピソードの展開に区切りのない感じがして、お話としてはきっと原作の方が楽しめるでしょう。でも、原作、映画、絵本を比べて鑑賞してみるというのも、またひとつの楽しみ方かも知れませんね。大きな桃と昆虫たちのキャラクターは、とても魅力的です。両親をなくしたジェームズの明るさも好きです。 (ムースさん 40代・ママ 男の子9歳、女の子4歳)
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