夏の終り、北極圏ラップランドに住むサーメ族の女の子マリット・インガたちは、3日かけて秋のテント村へ旅をします。そこでは高原に散らばっているトナカイたちを村中で力を合わせて囲いに追い込み、近づいてくる冬への準備をするのです。トナカイの群れの中には、マリット・インガが5歳のお誕生日にもらったトナカイの子どもシロもいるはずです。まだ印の付いていないトナカイに印を付ける作業が終わると、今度はトナカイを冬の囲いに移動させ、それぞれの家族が自分たちのトナカイのめんどうを見ます。マリット・インガたちも秋のテント村から木でできた冬の家に移り、春が来るまでここで過ごすのです。
トナカイと共に暮らすサーメ族の一家を中心に、厳寒地ラップランドの豊かな暮らしぶりが美しい絵で紹介されたノルウェーの絵本。お話は5歳の女の子マリット・インガの語りで進みます。 興味深いのは、トナカイの肉のくんせい、内臓を使ってのソーセージ、毛皮の靴作りなど伝統的な文化が描かれる一方で、大平原にはジープが走り、雪が降ればスノーモービルが登場するところ。現代に生きるサーメの人々の生活ぶりが直に伝わります。作者のハグブリングはスウェーデン生まれ。実際サーメの人々と7カ月間暮らした経験からこの絵本を作ったそうで、その生き生きとした描写には、見たもの体験したものすべてが込められました。平原を埋め尽くすトナカイの群れや、オーロラが大雪原をばら色に染める光景など、自然の雄大さが広がるイラストは眺めているだけでも心が洗われます。 圧巻は、マリット・インガたちが教会で迎えるクリスマス。この日のために、みな赤い民族衣装をまとい、礼拝堂の中は素朴な華やかさに満ちあふれます。異文化を知ることに愛しさが感じられる絵本です。88年オランダGlazen Glove賞受賞作品。 ――(ブラウンあすか)
ラップランドの自然の中でトナカイを放牧して暮らすサーメと呼ばれる民族の、厳しくも豊かで楽しい生活を、少女の目から描く。
北欧の北部ラップランドに住む先住民、サーメの人々の生活が描かれています。
サーメ(サーミ)の人々の絵本は他にもありますが、こちらの絵本は、トナカイと共に生きる様子が詳しく描かれています。
トナカイの群れを追い込む様子、トナカイ集め、子どものトナカイにもちぬしのしるしをつけること
その他道具を作る様子なんかも載っています。
最後にラップランド周辺地図と文が載っているのもすごく良かったです。
見返しのページには、太陽が出ているラップランドの様子が!!!こちらまで嬉しくなりました。 (イヨイヨさん 30代・ママ 男の子4歳、女の子2歳)
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