アンネ・フランクが見つめた、マロニエの木が残した少女の物語
『アンネの日記』の作者、アンネ・フランクが自由への希望をもって見つめた、1本のマロニエの木が残した物語絵本。
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツのユダヤ人迫害からのがれるために、約2年半の間、“隠れ家”生活を送った15歳の少女、アンネ・フランク。彼女が“隠れ家”で綴った『アンネの日記』は、今なお読み継がれ、2009年には、ユネスコの世界記憶遺産にも登録されました。アンネ・フランクは、閉じ込められた生活のなかで、窓から見える1本のマロニエの木が花開くのを見て、絶望のなかで将来への希望を見いだす記述をしています。
絵本『アンネの木』は、このマロニエの木が、アンネの生涯について、そしてあの時代におこったことについて語る物語です。
アンネ・フランクについて知り、戦争について、そして現代の自分たちが当たり前のようにもっている自由について、改めて考えるきっかけになる絵本です。
絵本を多く訳されている石津ちひろ氏の訳は読みやすく、小学校3年生以上の漢字には読みがなをつけて、小学校高学年からの子どもたちに、理解しやすいつくりになっています。
また、ホロコースト記念館館長による解説文つきで、アンネ・フランクや、ホロコーストへの理解を深めることができます。解説文の最後には、参考文献、関連施設などの紹介をのせています。
この絵本の主人公であるアンネのマロニエの木は、2010年夏、衰えた木は台風によって倒れてしまいましたが、苗木はアメリカ、カナダ、日本など世界各地に贈られ、平和を伝え続けています。
『アンネの木』という絵本が出版されたことを知ったのは絵本ナビだったと思います。
子どもの頃に『アンネの日記』を繰り返し読み涙したことを覚えています。こんな残酷で悲惨な現実は二度と起こしてはならないと。
アンネが隠れ家から眺めたマロニエの木。人間が死んでからも生き続けてその歴史を見つめ続けることがあります。
13歳のアンネが15歳になるまでがこの絵本の中では語られます。
この木は今はもう倒れてしまったそうですが、苗木は日本にも送られているそうです。
アンネが亡くなり、木が倒れても、アンネの心また歴史は長く語り伝えられ、私たちに大切なことを教え続けてくれている気がします。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子9歳)
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