やまぶしさんは、修業よりもいたずらが大好き。今日も寝ているキツネを驚かせて、大喜び。 ところが辺りは急に暗くなり、遠くから不思議な声が近づいてきて……。 作家の武田美穂さんのお家で、おじいちゃんのそのまたおじいちゃんから、語り継がれてきた昔話を絵本化。 ちょっぴり怖いけど、ホッとするあたたかいお話です。
・作/武田美穂さんからのメッセージ
これは、わたしがちいちゃいころ、夏休みに徳島のおじいちゃんちに行くたびに聞かせてもらったとっておきのお話。夏の夜、いとこたちと、おじいちゃんをかこんで、どきどきわくわくしながら聞きました。 毎年の行事だからお話の流れはわかってるのですが、何回聞いても「ひゃー!」「きゃー!」と、エキサイトしましたね。江戸時代から武田の家にずーっと伝えられてきた話ということで、おじちゃんたちも、わたしの父ももちろん話せたんだけど、やっぱりおじいちゃんの、ゆったりした徳島弁のは、絶品でした。この絵本もそんな楽し怖ーい雰囲気で読んでいただけると嬉しいです。 あっ、読み聞かせの時は特に擬音は気合いをいれて、お願いします。聞き手を「きゃー!」とエキサイトさせられたら、グッジョブですっ!
武田美穂さんといえば、仲間のおかあさんが読み聞かせで読んだ、『おかあさん、げんきですか。』が子どもたちにバカウケしたのを目の当たりにして、そのあっけらかんさと子ども心に食い込むすごい人だなと思っていました。
今回のこの『どーんちーんかーん』は、さらにその上をいく大ヒット作です。
なにしろ、話の流れに自分も呑みこまれてしまいましたから。
いたずら好きの山伏さん。
うたた寝しているキツネをほら貝でおもいきり脅かしました。
そこまでは明るいお話だったのに、急に薄暗くなって、不気味な夜に。
お葬式の葬列、棺桶から出てきた死体、それはやまんばとなって…。
迫力のある怖さにぐっと緊張感が走りました。
この絵本にあるのは明暗の使い分けの素晴らしさと、擬音語の連発。
子どもたちの大好きなオノマトペでどんどん緊張感を高めていきます。
緊張感を思い切りためた後の、話のスピード展開。
必死に逃げる山伏さんが逃げ込んだのは…。
最後にはホッとして、騙されてしまった自分に思い切り照れ笑い。
これ絶対読み聞かせでウケます。
素読みして、このままお気に入り棚に収めておくことにしました。
出番は夏。
※※さん、この本は私に読ませてくださいね。
(ヒラP21さん 50代・パパ 男の子15歳)
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