お話は「わたしは やまのおくにすむ やまねこです」という語りではじまります。 ひとり気ままに、のんびりと何不自由なく暮らすやまねこ。ある日、ふと知らない世界が見たくなって街へと歩き出します。ところがその途中、やまねこは道ばたに倒れている白い子猫を見つけ、そのまま山へ連れ帰ることにします。すっかり元気になった子猫は、やまねこと一緒に山で楽しく過ごすのですが、一年が経った頃・・・。物語は思わぬ展開へと進みます。 静かで穏やか、そして優しさにあふれた物語。ひとりで暮らすやまねこの表情、今にも消えそうなほど儚げな子猫、そして春の訪れを全身で感じる感動の場面。柔らかな絵と直接感情に訴えかけてくるような美しい色彩。それらが一体となって読者の心を揺さぶります。 人気絵本作家のどいかやさんと新鋭作家きくちちきさんのコラボレーションにより生まれたこの作品。どいかやさんは、今回は絵を描かれていないのだけれど、だからこそ彼女の描く物語の世界観をより直接的に感じることができるのかもしれません。そして、驚くべきはその世界観を大胆に豊かに、そして時には繊細に描き出したきくちちきさんの絵。何と本作が絵本デビュー(同時期に『しろねこくろねこ』/学研 も発売)というのです。 本当に素敵な絵本が出来上がりました。さて、だれに贈ろうかな・・・。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ひとりきままに山でくらすやまねこ。
あるひ、街へ出てみようと歩き出します。途中、道ばたに倒れている子猫をたすけ、放っておけなくて山へ連れ帰る事に。それから2匹の楽しい暮らしが始まるのですが…豊かな自然の世界を、大人気のどいかやと、新鋭の絵描き、きくちちきが描きます。
動物が人間に姿を変えて、恩返しにくるお話はたくさんありますが、、、。思いもかけない展開でびっくりしました。とても、幻想的で夢のようなお話だなと思いました。
どいさんのお話にぴったりの絵もよかったです。ひょうひょうとしたやまねこと、黄色のねこがいきいきしていました。
もうすぐ春。タンポポの季節にピッタリのお話だなと思いました。 (どくだみ茶さん 40代・ママ 女の子11歳)
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