さきちゃんは、おばあちゃんとお母さんの三人暮らしです。 二人ともうんとさきちゃんを可愛がってくれるから、さきちゃんはちっとも寂しくなんてありません。
「へいき へいき。 おかあさんは つよいんだから」 そう言って、タクシー運転手のお母さんは、早朝から深夜までたくさんのお客さんを乗せて毎日一生懸命働いています。そんな忙しいお母さんも今日だけは、夜の勤務をお休みさせてもらう予定でした。なぜなら、さきちゃんのお誕生日をみんなで一緒にお祝いする予定だったからなんです。だけど、何時にもなってもお母さんは帰ってきません。 「やくそくしたのに・・・」 さきちゃんがべそをかきはじめたちょうどその頃、お母さんはいなかの町をタクシーで走り回っていました。 なぜなら・・・・?
現実を舞台にした物語を「生活童話」と呼ぶそうです。著者の西本鶏介さんは、あとがきでこうおっしゃっています。 「幼児だからといって甘えてばかりではいられません。家族のひとりとして役に立つ存在であることを自覚させたいものです。」 厳しい言葉の裏側には、子どもを一人の人間として尊重し、思いやりを持った大人に成長してほしいという西本さんの願いが感じられます。さきちゃんは、きっとお母さんの生き方を通じてたくさんの大事なことを学んでいくことでしょう。そして、この絵本を読む子どもたちにもきっと西本さんの思いが伝わるはず。子どもたちが家族について考えることを意識することがその第一歩につながるのかもしれません。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
さきちゃんのおうちは母子家庭。お母さんはタクシーの運転手をして毎日がんばっています。今日はさきちゃんの誕生日なのに、お母さんは仕事が遅くてなかなか帰ってきません。お母さんになにかあったのでしょうか…。世の中にはいろいろな家族があります。環境に負けずに、どの子どもたちにも、いつも笑顔でたくましく、人の痛みのわかる子に育ってほしいですね。さきちゃん、これからも、がんばって!
読み終えて、実話かしら・・と思い、
見返しなどを読んでみました。
この本は
おかしくて楽しいファンタジーな絵本とは対照的な
現実を舞台にした「生活童話」というジャンルの本になるのだそうです。
おかあさん、おばあちゃんそしてさきちゃんという女の子の3人家族の話。
お母さんはタクシーの運転手さんです。
いつもいそがしいお母さんだけれど
さきちゃんの誕生日には早く帰る約束をしていました。
でも・・・
仕事を持っていると、どうしても仕事優先にならざる場面はあります。
ましてや、突発的な出来事に遭遇してしまうとなおさら・・・。
今はめずらしくもない母子家庭の日常が
温かく描かれています。
いつもは勇ましい感じのお母さんが
休日に、お母さんらしくエプロンをつけているラストページが印象的です。 (やこちんさん 40代・ママ 女の子9歳)
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