「あ。」
見つけたのは、わごむ。 ゴミ箱の脇に落ちていた、わごむ。
お母さんに「ちょうだい」って聞いたら「ドーゾ」だって。 やった!このわごむは、わたしのだ!! わたしの好きにしていいの? すごくない?
女の子が手にしたのは、どこにでもある、何の変哲もない普通の「わごむ」。色だって、よくある「茶色」。だけどこれは、お兄ちゃんのおさがりでもなく、みんなで使うものでもなく、貸してもらうものでもない。正真正銘、彼女のもの。
うん、ちょっとわかる。 だけど、彼女の溺愛ぶりといったら。 「わごむ」への期待度の高さといったら。 ……かなり笑えます。
「わたしの わごむは わたさない。」
この強い意志こそ、子どもらしくて可愛らしい。 そうそう、たとえどれだけお金を積まれたってね。 あれ。私もこのわごむ、欲しくなってきたぞ。
作品を出すたびに、固くなった大人の脳みそや、当たり前だと思っていた価値観を揺さぶってくれるヨシタケシンスケさん。今度のテーマは「モノの価値観」。誰にだって自分だけの宝物ってあったはず。この絵本を読みながら思い出してみるのもいいし、子どもたちの宝箱をそっと観察してみるのも面白い。きっと思いもよらないものがあるはずで……。
やっぱり今回も少しだけ世界を広げてくれるヨシタケさん。最後の終わり方も最高です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ゴミ箱の横にわごむが落ちていた。お母さんに「ちょうだい」って聞いたら「いいよ」だって。やった! このわごむは、わたしのだ!! わたしはずっとほしかったの。お兄ちゃんのおさがりでもない、みんなで仲良く使うものでもない、ちょっとだけかしてもらうものでもない、わたしだけのものが。 今日はわごむといっしょにお風呂に入るし、夜はもちろんいっしょに寝るわ。そして、大人になったら、このわごむでおしゃれを楽しむつもり。この先わたしがもらうたくさんのラブレターも、このわごむで束ねるの。世界中の悪い人をこのわごむで捕まえてもいいわ。それに、宇宙人がきたらこのわごむでやっつけて地球を救うわ。 この本を読んだら、きっとあなたもわごむがほしくなる!? ヨシタケシンスケのユーモア絵本。
「自分だけのもの」を描いたストーリー。
子どものころって愛着を持って肌身離さず持っているものあったなぁと思いました。ヨシタケさんならではの「それあるよね!」の共感とヨシタケさんワールドで描かれたコミカルさが気持ちいい絵本です。
我が家では、この絵本のタイトルが家族でヒットしていて、食べるのが大好きな娘はよく一人で抱えて食べたいものがある時に「わたしの〇〇はわたさない」と言ってこの絵本の話をします。それが、パパもママもおもしろくてかわいくて大好きです。成長するにつれてどんなものを渡さなくなるのか、楽しみです。 (みいつけたさん 30代・ママ 女の子4歳)
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