さむがりやのねこは、寒い冬が大嫌い。秋になり、冷たい風が吹き始めると、耳付き帽子をかぶり、秋も終わりの風が吹くとセーターを着ます。そうしていよいよ冬になると、ズボンを履き、マフラーとてぶくろをして。それでも寒くてたまりません。
そこで、ねこは思います。 「きたぐになんて まっぴらだ……。 そうだ、あったかい みなみの くにへ いこう。」
南へ向かってどんどん歩くねこ。だいぶ南へ近づいたと思った頃に現れたのは一件の家。見ると、軒下に洋服がいっぱい詰まったかごがあります。 「こりゃ あったかそうだ。」 ねこは、そこで一休みしようともぐりこむのですが……。
さあ、そこからの展開がものすごいのです。さむがりやのねこにとって、まさかの試練の連続です。ああなって、こうなって、しまいには「かちんかちんのねこ」になって!? 散々です。一体どうなっちゃうのでしょう?
最初は寒がっているねこを見て、「わかるわかる!」とうなずいていた子どもたちも、あまりにも意表をつく出来事に目がまん丸になっちゃうはず。そして「かわいそう」をとっくに通りこして大爆笑してしまうのです。だって、目が覚めた時のねこの表情ときたら……ね!
ところが、物語はこれでは終わりません。意外な結末へと向かいますよ。最初とはうってかわったねこの顔。その充実した表情は、身をもって体験をした後に答えを見つけた時の顔。頬が紅潮して、自信に満ち溢れていて、とっても愛おしくて。こんな顔をした子どもたち、見たことありますよね。読んだ後、大人だって何だかソワソワしてきちゃうのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
さむがりやの猫は、寒い冬が大嫌い。南の国ならあたたかい、そう思った猫は歩きだします。ナンセンスが楽しい絵本。
寒いのが大嫌いなさむがりやのネコが、「あたたかい南の国へ行こう」と決心します。でも南の国への道中で散々な目に遭ってしまうのですが・・。 待ちかまえている「散々なこと」があまりにもひどくて、つい笑ってしまいます。ネコの浅はかな考えも、実物のネコと重なって「バカで単純、でもかわいい!」と唸りたくなります。ネコがおばあさんに洗濯物と間違われて洗濯されてしまうシーンでは、カワイソウだけど大笑いしてしまいましたよ! (ぶり子。さん 30代・ママ 女の子3歳)
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