「オツベルときたら大したもんだ。稲扱器械の六台も据えつけて、のんのんのんのんのんと、・・・」ある日、地主のオツベルのところに大きな白い象がやってきて、オツベルは象をうまく騙して思うがままに過労をさせる。初めは労働を楽しんでいた白象だが、徐々に食べ物を減らされて弱っていく。白象は月の助言で仲間たちに手紙を書き、それを読んだ仲間の象たちはオツベルの邸へと押し寄せていく・・・仲間達が一体になって、助ける姿に感銘を覚えます。最後の燃えるような「赤」が印象的な作品。決してハッピーエンドではないこの物語を荒井良二が色鮮やかに描きあげた絵本です。
▼「宮沢賢治の絵本」シリーズ
【著者プロフィール】 荒井 良二 1956年山形県生まれ。日本大学芸術学部美術学科卒業。イラストレーションでは1986年玄光社主催の第4回チョイスに入選。1990年処女作「MELODY」を発表し絵本作りを始める。1991年に世界的な絵本の新人賞である「キーツ賞」に「ユックリとジョジョニ」(ほるぷ出版)を日本代表として出展。1997年「うそつきのつき」(文渓堂)で小学館児童出版文化賞を受賞、1999年に「なぞなぞのたび」(フレーベル館)でボローニャ国際児童図書展特別賞受賞、2000年「森の絵本」(長田弘/作 講談社)で講談社出版文化賞絵本賞受賞。2005年にはスウェーデンの児童少年文学賞である「アストリッド・リンドグレーン記念文学賞」を日本人初受賞。その他「はじまりのはじまり」(ブロンズ新社)「スースーとネルネル」(偕成社)など多数。
作者の作品は知ってるつもりだったけど、実際は全然知らなかった。
あまりに有名で自分も知ってる気になってたらしい・・・
読み始め、きっとハッピーエンドと思いながら進める。
ん、なんか様子が変わってきたぞ・・
人の都合のいい勝手な思い、欲望
象の好意を逆手にとる悪知恵はたらく、あくどさ
いつの時代もこんな人間っているもんだなあと悲しくなる
人間と動物、あらゆるもの(全ての生き物、自然など)が助け合い共存できる世界を作者は願っていたと聞いた事がある。
この作品に限らず宮沢賢治の作品にはそんな思いがこめられているという。
欲張りにはバチがあたるものだ。
ぱっと見の絵も目を引くが、わりと長い話の中で
1日の終わりにつぶやく象の言葉がなんだかしみる (ねーねーさん 30代・ママ 女の子13歳、女の子12歳)
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