たけのこがたろをのせたまま、ぐんぐんぐんぐんのびだして……。テンポの速い構成のしっかりした物語と流れるような横長の絵が、絵巻物を思わせます。
山のずーーーーっと奥のお話です。
今夜はたろの誕生日。お母さんにたけのこを採ってくるよう言われました。たけのこを使ってごちそうです。
たろうは、竹やぶでたけのこを掘り始めました。少しすると暑くなってきたので上着を脱ぎ、すぐ近くのたけのこにかけました。すると、そのたけのこが、にょきにょき伸び始めたんです。たろは上着がなくなってはこまるので、にょきにょき伸びるたけのこに飛びつきました。でも、たけのこの成長は止まりません。どんどん伸びます。
いつまでたってもたろが帰ってこないので、お母さんが心配して探しにきました。すると、ぞうりが落ちていて、なんとたけのこがにょきにょき伸びているんです。「たろやーーーい」と呼ぶと上のほうから「ん・・・ん・・」と声が。母さんは急いでお父さんを呼びに行きました。隣の人も、そのまた隣の人も。村の人たちみんなやって来ました。
それでも、たけのこはまだまだ大きくなります。やがて、たけのこも大きくなることに疲れ、そろそろ竹になることにしました。その前にちょっと一休み。
竹の成長が止まったら・・・「もう切るしかないだろう」とお父さん。みんなは斧やなたをもち切り始めました。すると、竹が勢いよく倒れ始めました。いくつもの山の上に・・・。村人たちは倒れたたけのこをたどって、たろのもとに急ぎました。たろの倒れていたところには池がありました。でも、池だと思ったら、それは海だったのです。海のはなしは、ひいじいさんから聞いたことがありました。魚、貝などたくさんあるところ。でも、海にいくには遠すぎる。迷子になってしまうから、もう100年も行った人がいないこと。でも、この大きなたけのこをたどってきたことで、海にこれたんです。これからは、このたけのこをたどってこれば、道に迷うこともありません。村人たちは、海にもいけるようになり、幸せに暮らしました。読み終わったとき子供が「これおもしろいじゃん!」と。 (いちごちゃんさん 20代・その他の方 )
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