むかしむかし、トラとネコは山のなかで暮らしていました。そのころ、トラはいまと違って、とてものろまで、狩りをするのが下手でした。いっぽうネコは、トラよりずっと体が小さいのに、毎日、たくさんの獲物を捕ってくるのです。そんなネコの姿をみるたびに、トラは、「いいなあ……おれもあんなふうに上手に獲物が捕れるようになりたいなあ!」と、思っていました。そこで、「狩りの方法をこのおれにも教えてくれよ!」と、ネコに頼みました。あまり熱心なので、ネコはとうとう教えることにしました……。 自然界では、ネコやヒョウなどのネコ科の動物は木に登るのが得意で、ライオンもときどき木に登ります。ところが、トラだけは例外的に、ほとんど木に登ることがありません。このようなトラとネコの生態をよく知っている中国の人々が生み出した昔話を、絵本にしたものです。
中国の昔話の再話。
トラとネコの生態についての但し書にあったように、トラとネコはネコ科の動物で、ネコ科の動物のうちトラだけは例外的に木に登らないとのこと。
中国では、トラが身近に居たのかと、その方に驚いてしまいました。
お話は、のろまなトラが、素早いネコに獲物の捕まえ方を教えて貰うというシーンから始まります。
この切り口が最高です。
いろいろな術を教えて貰うときの、トラとネコの表情の対比が実に愉快。
そして、納得の結末なのですが、実に良く出来た昔話だと思います。
物語も素晴らしさもさることながら、大島英太郎さんの擬人化した絵が、秀逸で見るものを虜にすることでしょう。
昔話のコレクションに是非加えて欲しい一冊で、読み聞かせにもピッタリの作品です。 (ジュンイチさん 40代・パパ 男の子12歳、男の子6歳)
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