カッパに似た化け物「しばてん」の生まれ変わりといわれる太郎のたどる運命を、深いペーソスをたたえながら描きます。
自分に都合のいい時は受け入れ、
都合が悪くなると突き放す。
ひそひそ声をだんだん大きくして・・・
立場の強い人間の一声で動かされる。
本当は自分も荷担したのに、
誰かのせいにして知らん顔。
・・・そういった人間の身勝手さ、愚かさが描かれています。
テーマが重く、絵も「カワイイ」とはいえないけれど、
こういう作品を伝えていく必要があると思います。
田島征三氏の「あとがき」にもあるように、
たとえ初めて読んだ時には作品の訴えることがわからなくとも。
また、題名は『しばてん』ですが、
主人公の「たろう」は、あくまで人間の「たろう」ですよね。
たとえ「しばてんの生まれ変わり」であっても、
「たろう」は「たろう」だったから、
「かえってこなかった」のですよね。
作者の学生時代の処女作!
高学年で読もうと思います。 (ちうやかなさん 40代・ママ 男の子11歳、男の子8歳)
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