少年は待っていた、夏の道で。来た、汽船だ。岬へと走り出す。激しい雨が降り出した。汽船が行ってしまう、早く!その時、少年の足元に…。光と草いきれと熱気が体を包みこむ、匂い立つような夏をダイナミックに描きます。
画家の沢田としきさんは、この絵本を描くために、各地に取材に行き、5年がかりで完成しました。 (佼成出版社HP「編集者から」より)
いろいろに読みとれる絵本だと思います。
海を航行する汽船を見たくて走る少年は、汽笛が聞こえたから走るのでしょうか。
誰かが去っていくから走るのでしょうか。
夏の空、突然の雨、おいしげる草の原、そして無人のバス停…。
象徴的なシーンの説明はなく、解釈は読者に委ねられます。
落ちていた怪獣のぬいぐるみも何かを意味しているようです。
少年は間に合わなかったけれど、余韻たっぷりで、心がざわざわしてきました。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
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