トッケビとは、おばけのこと。ある雪の日、トルセが牛をつれてかえり道を急いでいると、ひょっこりトッケビの子が現れました。トッケビの子は術を使うのに必要な大事なしっぽを犬にかまれてしまったのです。 かわいそうに思ったトルセはトッケビの子の願いをきいて、牛のお腹の中で休ませてあげることにしました。ところが、約束の日になってもなかなかトッケビの子が出てきません。 牛のお腹は日に日に大きくなり、トルセは大慌て。そこへ「おいしい物を食べすぎて、ふとって牛の喉を通ることができなくなった」というトッケビの子の声が聞こえてきたから、さあ大変。 トッケビの子は牛のお腹の中から出られるのでしょうか? 韓国でも大人気、トッケビ小僧のお話です。
韓国の絵本ということで手にしたのですが、読んでみて驚きました。
私が大学時代に研究していた豊島与志雄の「天下一の馬」と酷似していたからです。
トルセを甚兵衛、牛を馬、トッケビを悪魔に置き換えれば、「天下一の馬」になります。
読みながら、私の頭の中で、「天下一の馬」は韓国の童話だった?それはすごい発見と思ったら、作者紹介と訳者解説でなぞがとけました。
「天下一の馬」の翻案作品だったのですね。
トルセは、けがをしたトッケビの子どもに頼まれて、トッケビの子どもを牛のお腹に入れて休養させてやります。
馬よりも牛の方がお腹が大きくて、小さな子どもぐらいが入りそうではありますね。
お腹の中に入るとことでは日本には「かえるをのんだととさん」がありますし、そこへ悪魔の子を入れるというのは、フランス文学を専攻していた豊島ならではの発想と思われます。
トッケビは韓国では不思議な存在ということで、「うしとトッケビ」は韓国の昔話らしい感じに仕上がっていると思いました。
日本では、豊島与志雄といっても、あまりご存知のない方も多いと思いますが、こんな風に韓国のお話の中で生かされていて、嬉しく思いました。
この絵本を読んだことをきっかけに、豊島の「天下一の馬」に興味を持ってくれる人が増えるといいなと思いました。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子7歳)
|