ビルが立ち並ぶ街へと続く橋のたもとに、辺りの景色にそぐわない、一軒の駄菓子屋があります。 ぼくらの放課後は、この駄菓子屋からはじまる!
「チャンガラ〜 チャンガラ〜 チャンガラ〜」
駄菓子屋のおばちゃんがおかしな音のスズを鳴らすと、辺りの景色が一変! ビルは深い森をたたえた山々に変わり、コンクリートの道路は舗装されていない土の道になっています。 さっきまであったデパートに代わって道にはずらりと露店が連なり、街へと続いていた橋の先には、神社の鳥居がそびえています。
見たこともないような奇妙な町。 でも、どこかで見たような懐かしい町。 そう、ここが「ちゃんがら町」、 ぼくらの放課後の冒険の舞台!
人間なのか? 妖怪なのか? それともキツネが化けたもの? ちゃんがら町に住むのは、正体不明のちゃんがらっ子。 かっぱが住むと噂される洞窟や、巨大なうどんが食べられるお店もあったり、とってもへんてこな町です。 でも、古き良き昭和の日本に似た、懐かしい町でもあるんです。 駄菓子屋、探検、秘密基地、コマ遊び― ひとページひとページに、ノスタルジックなワクワクの詰まった、大人も楽しい一冊。
駄菓子屋もめっきり見かけなくなった近年にあっては、この作品に感じる魅力が大人と子どもとで違うものになるでしょう。 昔を知らない子どもたちには、ちゃんがら町ならでの奇妙な光景と合いまったかつての日本の景色が、和風ファンタジーな異世界として映るかもしれません。 なつかしくってワクワクで……不思議な味わいの世界、ちゃんがら町。 あなたはこの町を、どんなふうに感じますか?
(堀井拓馬 小説家)
駄菓子屋から出入りする「ちゃんがら町」で、ぼくらは遊びに遊ぶ。かっぱ洞、お皿が池、ひみつ基地、商店街。新進絵本作家が長年温めていた少し不思議な世界が楽しい絵本。
駄菓子屋のおばあちゃんの鈴が合図で、不思議の世界への扉が開く。子供達はわくわくしながら、その時間を心待ちにしているんだろうなあ。やる気のなさそうなおばあちゃんだが、昔はこんな駄菓子屋のおばちゃんやおばあちゃんが、子供達のことをよく見ていてくれたんだね。
でも、現実の世界では、いまや駄菓子屋はコンビニにとって変わられてしまっているので、この絵本の味は、子供達にはわからないかもしれない。
それでも、次女は繰り返し読みたがっていた。不思議の世界に惹かれる物があるのだろう。
(えっこさん 40代・ママ 男の子12歳、女の子9歳、女の子5歳)
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