おじいさんは虫や鳥や動物が大好きです。いつも冬の間に作った6個の巣箱を家のまわりの木にとりつけます。 春になって暖かくなると、その巣箱にヤマガラという鳥がやってきて巣をつくりたまごを生むのです。 たまごからかえったヒナのために、親鳥は毎日何回も何回も虫を運んで食べさせます。 おじいさんは、それを観察したり、ヒナが元気に巣箱から飛んで行くのを見るのが大好きなのでした。 ところが、いつものように巣箱を6個とりつけたある年。 3月になって大きな地震が起こりました。 そして、いくつか山を越えたところにある原子力発電所が津波で壊れたのです。 おじいさんは、何も知らないでエサの虫を巣箱に運びつづけるヤマガラが心配で仕方がありません・・・。
大の鳥好き、鳥の巣の研究者としても知られる鈴木まもるさんが、3.11以降、福島の森で鳥が少なくなったという事実を知り描き出した絵本です。 あの日起きた事故により放射性物質はまわりの野山にも広がっていきました。 人間社会だけでなく、間違いなく自然界全体に大きな被害を与えたであろうことに、おじいさん同様多くの人たちが心を痛めていることでしょう。 この絵本では、おじいさんの目を通して、優しく子どもたちに語りかけてくれています。 回復に向かって健気に生きる野生の鳥や動物の姿、そして人間を含む全ての生命の尊さ。強さを。 私たちは、鈴木まもるさんの見せてくれたこの大事なテーマをしっかりと心にとめていかなければなりません。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
3.11以降、福島の森では異変が続いています。本書は、原発事故が起きてから、森で鳥がすくなったという事実をもとに、構成しています。 おじいさんは鳥が大好きでした。毎年冬になると、おじいさんは巣箱を6個作って家の周りにつけます。春になると、ヤマガラが、巣箱にはいりヒナを育てるのです。おじいさんは、ヒナが育つのを楽しみにしていました。2011年、事故があった年、いつもと同じように、巣箱を取り付けました。でも、おじいさんは、心配で心配で仕方ありませんでした。今年もヤマガラはやってくるだろうか? ヒナは巣立つことができるだろうか? おじいさんの心配は、みんなの心配です。 人間だけではない、地球上にくらす小さな生き物たちに目を向けてほしいという作者の願いが込められています。
(編集担当者からのおすすめ情報) あの日の忘れられない出来事のあと、福島の森で起きていることを、小さな子どもにもわかるような、心やさしい絵本にしました。鳥好きで知られる鈴木まもるさんならでは、目線で描いています。ぜひ多くの方に読んでいただき、心にとめていただきたいテーマです。
人間のせいで造った原子力発電所から漏れ出た
放射能を、人間は危険だと知っているから、
近くの植物や生き物を食べないようにしているのに、
「なにもしらない」鳥たちは
「いつものとおりむしをとってきてヒナにあげています
なんども なんども なんども・・・」
「食べるな」と教えてあげることもできず、
かといって「これを食べなさい」と遠くの虫や植物を
代わりに食べさすこともできないんですよね。
人間のことばかりに注目されていて
何の罪もない生き物たちが一番被害を受けて
いるということをあまり意識していませんでした。
人間の勝手な行為で
他の生き物に迷惑がかからないよう
気をつけたいと思いますが、
大きなことはできないので
まずは身近なゴミを出さない、
電力など無駄なものを極力控えるなど
できることから気をつけていきたいです。 (まことあつさん 30代・ママ 男の子8歳、男の子5歳)
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