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だいじな洋服
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投稿日:2015/01/14 |
エルサ・ベスコフの描く世界が本当に好きです。見えるもの全てに気を配り、字には読み込まれない世界も見せてくれます。
この話では、まず最初のページで膝下丈のズボンのペレを見せ、
次のページで、大きくなったペレのズボンが膝上になり、短くなった裄丈を気にするペレの表情を見せます。
そして、ラストでできあがったのは大人気分満載の「三つ揃い」の服で、大きめに出来上がっていることを見せます。
手の甲が半分隠れているところがとても素敵。
靴も大きめで、磨いてある新品という気がします。
帽子に手をかけ羊に挨拶をする仕草、ペレはすっかり大人気分です。
洋服の持つ魅力、大人の仲間入りをしたい子供の気持ち、こんなふうに描くことができるんですね。
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子供に戻る
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投稿日:2011/12/08 |
絵も、訳も、私の琴線を震わせます。
どちらも、私よりぐっと年上。
自分より若い感覚に触れた方が若返ると言われますが、
自分より年上の感覚に包まれたほうが
子供になれる気がします。
私が子供の頃の冬は
今よりずっと寒かったはずですが
暖房が発達すればいいのに、なんて思ったことはありませんでした。
たぶん、この詩のような暖かさに包まれていた世の中だったのかもしれません。
ずいぶん前に出た本なのに、
今年出会いました。
そういうのも、なんだか嬉しいものです。
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じゅもんだもん
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投稿日:2011/06/27 |
ますだゆうこさんが、自身のパネルシアター作品をアレンジした、
ケロちゃんえほんシリーズの第10弾。
ゆうこさんのパネルシアターは、どれも自由度の高い楽しい作品ばかりで、この絵本シリーズの元ネタはほとんど演じさせていただいてます。
絵本として固定されてしまうのはもったいないなあ、と思っていたのですが、絵本は絵本としてなかなか良いのです。
この、「はぶじゃぶじゃん」は、この音が魅力!ゆうこさん独特の言葉音感ですね。パネルで演じたときも、こどもたちは、この音をおおいに喜びました。じゅもんみたいだから面白いんだよなあと思っていたら、この絵本では、まさに、魔法のじゅもんになっていました。
修行中のまほうつかい、その名も、はぶじゃぶじゃんくんが、はぶじゃぶじゃんのじゅもんで、何でも解決!と思いきや、なかなかうまくいきません。
絵を担当の高畠さんが、はぶじゃぶじゃん、に乗っかって、まほうつかいの想定外をぐんぐん広げていきます。
絵本になっても自由度高い、魅力の一冊です。
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ふつうのことがいとおしい
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投稿日:2011/06/08 |
世の中がわけのわからないことになってくると、絵本さえも異世界として、こわくなってしまう、そんな時、この絵本を手にしました。
雨の話も、傘の話も、長靴の話も、もう出尽くしている中の、あえてのこの題材。特別かわったことがあるわけではないのですが、今まで読んだ、どの雨降り話よりも、過不足無くまっすぐに心の中に入ってきて、
ほっとしました。
ながぐつくんとあまがさちゃんのように、一緒にいるべきパートナーが、一緒にいると嬉しい風景の中で、響き合いながら暮らしてる、そうすると、あーあということが起きても、思いがけない虹が見られるような明日がやってくる。そんな普通がいとおしくなります。
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くすぐられる表意音
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投稿日:2011/02/09 |
ウサギがある日出かけている間に、自分の家を何者かに占拠されてしまい、その事態に、いろいろな動物がおせっかいを焼いてくれるという、民話です。お話自体、民話らしいくり返しの多用で愉快ですが、絵も独特の色彩で目を引きます。マサイ族が動物の仮面をかぶって劇をしているという設定もおもしろい。
そして、アフリカ人が使う言葉ををそのまま標記しているという表意音。カエルが「せむ」としゃがんだり、ジャッカルが「くぴどぅ、くぴどぅ」と逃げていったり、ゾウが「がむ、がむ、がむ」と歩いたり。
最初は「?」だった表意音の数々が、だんだん口に馴染み、とってもそれらしくなってきました。
刺激的な絵本です。
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綺麗になれる言葉
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投稿日:2011/02/09 |
これは、40年以上前に作られた創作民話が4編収められた本です。
「おおかみのまゆ毛」は、木こりの娘が、山の神から授かった運命のもとに、数奇な人生を歩む話。物語中盤で、かざすと人間の本当の姿が見えるという狼のまゆ毛を手にします。
他には、
貧しい百姓の幼い娘が、父親が命がけで手に入れた「あずきまんま」に喜び、歌にしたばかりに起こる悲劇。
幼い頃の想い出を胸に、残酷な戦時中を生きる娘の話。
お日さまとお月さまが見つめる、子ども達の生き様。
どれも、人間、あるいは人間を取り巻くものの本当の美しさや醜さを問う、せつなさに満ちた内容のものばかりです。太田大八さんの美しい挿絵も、もの悲しさを引き立てます。
胸をしめつけられながらも、松谷さんの生み出す言葉の流れは、それを音にする自分が綺麗になっていく錯覚を起こすほど心地良いものでした。
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丁寧に語られるあたたかさ
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投稿日:2010/12/17 |
このお話を書こうと思った作者も絵を描かれた方も、とても丁寧に本にしてくださったのだなあ、と心を打たれます。訳の日本語も、声にのせやすい、言葉遣いです。
イブの夜から始まる場面は、夜らしい静けさに満ち、少ない色使いは、物語と向き合う丁寧な気持ちを呼び起こしてくれます。サンタクロースの衣装に白が選ばれていることも、クリスマスの真髄をを際立たせていて、年老いたロバに起きる奇跡を、心から祝福できるのです。
最後のプレゼントがもたらされる夜明けに向けて、ほんのりと色使いが暖かく明るくなっていくのも、なんと素敵でしょう!
全編にほどこされている銀の縁取りも目を見張ります。
子どもと一緒に寝る前に本を読んでいたときに、出会いたかった本でした。
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若いって素晴らしい
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投稿日:2010/11/10 |
絵本のレビューや紹介本は、大抵、「子どもまみれ」の立場で書かれていることが多いものです。子育て中であったり、先生中であったり、子ども研究中であったり。
聞かせ屋。けいたろうくんも、保育士を経験しているし、御本人のブログを見ると、子どもから支持されるオーラ保有者と言えそうなので、「子どもまみれ」と言えなくもないけれど、それ以上に、大人に絵本を!と、ゲリラ的に絵本界に飛び込んできた初々しい若さに「子どもまみれじゃない」魅力を感じます。
東京の北千住路上から始まった聞かせ屋稼業4年目にして出版されたこの本には、そんな若さがあふれ、絵本を紹介する言葉の使い方にもエピソードにも、今の彼にしか出せないだろう新鮮な視点があります。
装丁も軽やかでおしゃれでおいしそうなので、何度開いても飽きません。子どもまみれの人もそうじゃない人も手にとってほしい本です。
聞かせ屋。けいたろう絵本ライブもごきげんなライブです。機会があったら是非ご覧下さい。
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とびあがっちゃう
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投稿日:2010/07/29 |
とびあがって驚くって言いますが、実際ジャンプして驚いてる人なかなか見ません。飛び退くぐらいです、普通は。
この絵本のヒトたちは、みーんな飛び上がってます。かなりの跳躍力です。全然違和感ありません。共感のみです。うわーって言うときは、こんな感じなんですよね。
15センチ×15センチの小型絵本です。持ち歩きに便利。
感情移入しやすいので、お出かけ先でエキサイトしないように。
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ほら、信じて
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投稿日:2010/01/14 |
フェイスFAITH(信じる)という名の石像の女の子と、物言うトラのじゅうたんの語らいで進む物語です。
あるお屋敷の部屋である日「目覚めた」フェイスは、そこに敷いてあるトラのじゅうたんから話しかけられ、自分は何であるかということを探し始めます。トラは、彼女が何であるか、自分は何であるかと言うことを、様々に物語るのですが、そのどれが「真実」なのかは、石像と絨毯という立場上、確証されないままなわけです。でも、トラは「好きなほうを信じればいい」と言います。
フェイスは自分は呪いをかけられて石像になってしまった人間の女の子だったという事を信じ、呪文を解くにはどうすればいいかを問いかけます。その答えは
「いうべきことばを、いうべきときに、いうべき順番で口にする」
おお!!
深読み魂をくすぐる言葉(笑)
世の中でまことしやかに囁かれる「真実」や「常識」は、呪文のようなもので、人によって、うそにもまことにも成りうるのだから、自分が何を信じて何をすべきなのか、時と場所を選ばなくてはならないということだな!と受け取りました。
言い換えれば
「やるべきことを、やるべきときに、やるべき順番でやる」
やるべきことも、言うべきことばも、大体タイミングをはずしてる私には身に沁みます。
こんな深読みはさておいても、フェイスの活力となるトラのじゅうたんの「ほら話」はおもしろいし、それを具現化してる絵の数々も楽しくて、お気に入りの1冊になりました。
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