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日・中・韓平和絵本 へいわって どんなこと?

日・中・韓平和絵本 へいわって どんなこと?(童心社)

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のきのきこ

ママ・30代・群馬県、男1歳

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自己紹介
もともと読んだり書いたりするのが好き。息子の読み聞かせ用に絵本を借りるようになってから、絵本も読むように。基本、エッセイやら翻訳文学(難解でないもの限定。)を好む。ただし、英語は得意ではない。翻訳ものが好きでいい点は、図書館の予約待ちが少ないこと。でも、それは、一緒に話題にできる人が滅多にいないということで、ちょっと寂しい。
好きなもの
読書、映画鑑賞、感想を文章にすること。でも、ずっとじっとしてると飽きるので、体を動かすのも好き。
ひとこと
本の話題で話せる本仲間が欲しいです。

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レビューした本を入れていくことにする。

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のきのきこさんの声

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なかなかよいと思う 真の目覚め  投稿日:2011/11/30
スピリットベアにふれた島
スピリットベアにふれた島 作: ベン・マイケルセン
訳: 原田 勝
装画: ヒロミチイト

出版社: 鈴木出版
現代の社会問題に関する題材の選び方・及びその扱い方が秀逸であると思う。
前作「ピーティ」では、「障害者福祉」を一人の少年の孤独と合わせて描き、その話題をぐっと身近なものとすることに成功させていた。
本作で要となるのは、「サークル・ジャスティス」という制度とその制度の適用による少年の更生の過程を説得力をもって語ることができるか、ということだろう。

サークル・ジャスティス以外に見どころとなるのが、筆者のリアルで圧倒的な迫力を持つ筆致。

主人公コールが、スピリットベアに無謀な戦いを挑み、叩きのめされ生死の境目を彷徨う場面は、まさに目が離せない。物語の中盤であるにも関わらず、まるでクライマックスのようでもある。
しかし、だからこそのコールのその後の変化に説得力を持つ。


主人公のコール・マシューズは、同級生に対する傷害罪で裁判にかけられる。
コールは、家庭に恵まれず、心に強い怒りを抱え、それは反社会的な行為として外に向かう。
そんな彼に力を貸すのが、第三者である少年保護観察官であるガーヴィーとインディアンの古老エドウィンなのである。ガーヴィも、やはり、間違いを犯した過去があるらしいことをうかがわせる。
ガーヴィーの尽力により、コールは、刑務所で罰せられるのではなく、もう一度孤島でやり直すチャンスを与えられる。自分でしたことが全て自分に返ってくる自然の中、コールは、理不尽な怒りを父性の象徴であるかのようなスピリットベアに向け、叩きのめされる。
奇跡的な回復後、コールには、ガーヴィーやエドウィンの教えを受け入れる準備ができていた。

焚き火の周りでの踊り、水浴、石運び。

数々のエピソードの中で、心に残ったのは、枝の左端を怒りに、右側を幸せに見立て、怒りを折り取る話だ。折っても折っても左端はなくならない、全てを捨ててしまえば幸せをもなくすことになる。怒りは決してなくならない。全てはどう見るかにかかっている。

激しい心の葛藤、苛酷な体験を乗り越え、厳しい自然の中での暮らしによって、コールは、真の目覚めに導かれていく。

家族について、自己と向き合うことについて、自分の感情との付き合い方について、様々なことについて読む側に投げかけてくる、やはり傑作なのでしょう。
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自信を持っておすすめしたい 希有なリアリティ  投稿日:2011/11/21
おじいちゃん だいすき
おじいちゃん だいすき 作: W.ハラント
絵: C.O.ディモウ
訳: 若林 ひとみ

出版社: あかね書房
おじいちゃん・おばあちゃんを主人公にした話って・・・大概死生観を教えるという形を取るものが多い。
実際、死生観について考えるのも大事よねぇと思いつつ、もっと違ったお話に作れないものなのかなぁと幾分物足りなく感じていた。


まあ、確かに、ジョン・バーニンガムの「おじいちゃん」なんて読んだ日には・・・泣くこと必至の名作なんですが。
でも、あまりにもその印象が強烈だったのか、他の物を読んでも二番煎じのように感じたり。

そこに、W.ハラントの「おじいちゃんだいすき」

ふと手に取って読み、そのまま魅入られてしまった。
読後、とても感動した内容である、かつて課題図書であったというというのにも関わらず、既に絶版であるという事実をも知ってびっくりした。
・・・なぜなんだろう?

おばあさんに先立たれて一人になったおじいさんが、都会の息子夫婦と同居することになり、その一部始終を孫の男の子の視線から描いたもの。
結局おじいさんは、都会の生活に馴染めず、またかつての思い出の家に帰っていくのです。だれが悪いわけでもない。遠慮はあったかもしれないけれど、おじいさんも、息子夫婦も、孫であるぼくだってお互いに思いやりを持って接していた。
本文で繰り返される「おじいちゃんだいすき」という言葉がなくても、十分ぼくのおじいさんにたいする気持ちが伝わってくるのは、そのおじいちゃんとの生活の日々の具体的なエピソードの積み重ねがあるからでしょう。

本文の前と後ろに字のない、絵だけのコマ漫画の様なページがついていて、お話のプロローグとエピローグになっているのも効果的。息子夫婦のところに来るようになった顛末とおじいさんのその後の生活。文章で語るよりも、多くを雄弁に物語るその絵という仕掛けも素晴らしい。

大人向けの短編に描き直せそうだし、映画にもできそうな完成度の高い内容。なにより、お互いの違いを認め、理解し合うというその姿が、絵本においては希有なリアリティがあるように思えて、わたしはとても好きなのです。

強く復刊を望みます。
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自信を持っておすすめしたい 生き残る術  投稿日:2011/11/09
マルベリーボーイズ
マルベリーボーイズ 作: ドナー・ジョー・ナポリ
訳: 相山 夏奏

出版社: 偕成社
かなり面白い。最初から話にぐいぐい引き込まれてしまった。読みものとしての面白さと、物語としての深さと両方を兼ね備えた傑作だと思います。

主人公は、ナポリ生まれのユダヤ人の少年。ベニアミーノ、渡米後は、ドム。9歳。そして、私生児。
彼は、母親の計らいで船に載せられ、アメリカに送られる。
知りあいが誰もいない苛酷な新天地で、彼は自分の運命を一人で切り開いていく。

9歳である男の子が、たった一人で、誰も知り合いのいない土地で、何故生き抜くことができるのだろう、というのが素朴な驚き。
それは、彼がイタリア系のユダヤ人であるということが大きいのかもしれない。生きること、生き抜くことが第一義の命題であるから。種を絶やさないためにも。
だから、その点が日本の子どもと根本的に違う点なのかと思った。

決定的な違いがあるとして、でも、、この本を読むことで、生き抜くために必要なこととは何かを学ぶことはできる。
主人公は、公教育は受けていない。けれど、生きるためにはどうするべきか、ということを叩き込まれている。
それは、人の役に立つことをすべき、ということ。
修道院の地下で、腐乱死体に慄きながら彼は、見事ワインを取ってくるし、母親と離れた不安の中でも、密航した船で船員のために働く、そして、渡米後の青果店で、野菜をきれいに並べて見せる。
よく見ること、聞くこと。
何より、仲間や味方をつくること。
そして、本当の仲間や味方は、信頼によって得ることができること。信頼を得るためには、誠実であること。

そうやって彼は、同じ浮浪児で年上のガエターノという一匹狼やパドローネによって搾取されているティン・パン・アレイ、青果店店主グランディネッティに出会っていく。
少年たちが協力してサンドイッチを小売して利益を上げていく様は、商売の面白みを感じさせ、読んでいるこちらまで気分が高揚してくる。

だが、 この話は単なる成功物語に終わらない。
搾取され、虐待されているというひどい状況にありながら、そこを逃げ出すことより、何物にも属さない全くの自由が怖かったというティン・パン・アレイの告白に胸を衝かれる。
主人公ドムは、そんな仲間のつらい現実を見ることにより、自分自身のつらい現実と再び向き合い、それを受け入れていく。
これは、失われた家族を、彼が自分自身の力で築き直していく話であるのかもしれない。

一般書にしてもいいくらい、完成度の高い作品なのではないかと思いました。
参考になりました。 0人

自信を持っておすすめしたい 触れ合う心  投稿日:2011/11/09
ピーティ
ピーティ 作: ベン・マイケルセン
絵: 瀬藤 優
訳: 千葉 茂樹

出版社: 鈴木出版
この本は、フィクションであるけれど、実在の人物をモデルにしているとのこと。
U部構成になっており、一部は主人公の病院での半生を、U部は年老いた主人公とティーンエイジャーの男の子との心の触れ合いを描きます。

主人公ピーティは、脳性麻痺を患い、言語及び運動能力に障害を持って生まれた男性です。彼は、知能には問題がないにも関わらず、当時はこの病気に対する理解が十分ではなかったために、精神病院で半生を過ごすことになるのです。
ピーティが知性を持つことは、彼に関わった心ある介護士たちが気づくのですが、個人の力ではどうすることもできず、次々と去って行きます。

知性を持ち合わせながら、相手に分かってもらえないというのは、どんなにか苦しいことだったでしょう。

ある脳性麻痺の男性の苛酷な一生ということだけであれば、(それだけでも、十分心に訴えるものではありますが。)その苦しみが真に身に迫ってくることはなかったかもしれません。

これを、物語として、ヤングアダルトとしてどのようにお話を展開させていくのか、興味を持って読み進めていきました。

U部では、ティーンエイジャーのトレバー・ラッドという男の子が物語の主軸になります。彼は、転校したばかりで、友達がまだなく、両親もそれぞれ自分の仕事に忙しく、息子とゆっくり過ごす時間もなく、彼もまた、孤独なのです。
そんな彼は、ピーティに出会い、彼の存在を受け入れていくことにより、変わります。
生きる目的、存在意義を見出した彼は、ピーティのために、次々と思いやりに溢れた前向きな行動を取り、それは周囲をも巻き込んでいくことになるのです。

トレバーとピーティとの出会いや、トレバーの洞察力の鋭さには、こうあって欲しいという作者の願いが込められているのかと思いました。ピーティにとってのトレバーの重要性はもちろん、トレバーにとってのピーティのかけがえのなさを描いたところにも好感を持てました。

障害者の苦難の歴史とともに現状の姿を公平な目で描き、そこに多感な少年を関わらせて説得力のある話に作り上げたということで、とても興味深い本でした。
参考になりました。 1人

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