「チアーリリー!」「ティーウティー」「フィービー」「クークークー」 夜明けとともに、鳥たちのコーラスが始まりました。レイチェルは、どの鳥の声も、全部聞きたくてたまりません。あたりは生きものたちの音楽でいっぱい。ちいさなレイチェルは自然のリズムの中で暮らしていました。そしてよく見て、耳をすまし、感じたことを絵とおはなしに書くことの好きな女の子でした。
自然と共にすくすくと成長したレイチェルは、大学に進み生物学を学びます。そして海洋生物学者として働きながら、大好きな自然についての本を書きはじめたのです。しかしその頃、自然界ではおかしなことが起きていました。あちらこちらで、自然が声を失い始めたのです。レイチェルは自分のやり方で原因を探ります。
環境問題のベストセラー『沈黙の春』を描き、環境保護運動に大きな影響を与えた、生物学者であり作家でもあったレイチェル・カーソンの伝記絵本。レイチェルのひたむきな人生が、おしゃれな色合いのイラストで、丁寧に語られます。作者のステファニー・ロス・シソンは、小さな頃レイチェル・カーソンの本を読んで感動し、現在も作家・画家として影響を受けているそうです。巻末には「作者のことば」「監修者のことば」も添えられていますので、ぜひそちらも合わせて読んで、レイチェルの思いを感じてください。
(出合聡美 絵本ナビライター)
世界的ベストセラー『沈黙の春』を書いて 環境保護運動に大きな影響を与えた レイチェル・カーソン(1907-1964)の伝記絵本。
ちいさなレイチェルは目をこらし、耳をすませました。鳥のさえずり、虫の羽音。自然のリズムのなかで暮らしていました。あるとき、鳥がうたうのをやめ、自然が声を失いはじめたことに気がつきました。いったいなぜ? だれのせいで? レイチェルの一生をかけた調査、勇気ある行動は、 人びとの環境への意識を高め、社会全体の考え方を大きく変えたのです。 環境の汚染や破壊をくいとめ、たくさんの生きものが支え合って暮らしていける地球にするために、人間はどうしたらいいのでしょう。レイチェルの言葉は今、ますますその重みを増しています。
レイチェルカーソンのセンス・オブ・ワンダーという本にときめき、自然に思いを馳せた少女時代を思い出しました。こんな風に育ったレイチェルだから、沈黙の春という世界に刺さる問題提起ができたのだということが、分かりやすく伝わる絵本です。
目まぐるしく変化する世の中で、私たちはその日を生きるために忙しく過ごしています。しかし、ときには地球の持つ長い時間の流れを感じ、そこに少なからず存在する命の連続性を、地上にいる生物の一個体として理解するひとときを得たいものだなぁと思うのです。
レイチェルの育ったような環境は正直身の回りでは得られませんが、都会の片隅で育まれるセンスオブワンダーはきっとある。庭にやってくる野鳥を愛でたり、公園の四季の移り変わりを観察したりして子供たちに伝えてきたい。大人の私も、そんな気持ちになるような一冊でした。 (カオリンゴカモシレナイさん 40代・ママ 男の子10歳、男の子4歳)
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