「ママ、みて。ふねをつくったよ。パパにあげようかな」 「あら、すてき!きっとパパがよろこぶわ」
バークリーは、海辺の小さな家にママとふたりで暮らしています。 贅沢な暮らしではありませんが、ふたりはしあわせです。
遠い場所から流れついた流木をひろって、バークリーはパパのために舟を作ります。今でもパパが恋しくなって会いたくなります。でも、もう会えません。会えないパパに届くように、メッセージを書いたカードをつけて舟を海に浮かべているのです。
「だいすきなパパへ。バークリーより」
舟が戻ってこなかったら、パパがうけとってくれたってことだよね!そう思ったら、バークリーは舟をもっとたくさん作りたくなりました。ママも応援してくれて、ふたりは、特別なことがあるたびに舟を作るようになりました。
ところが、一年たったある日、バークリーはこれまでママがついていた「優しい嘘」を見つけてしまいます。
ママが子どもを思うきもち。 子どもがママを思うきもち。
こんなにもかけがえのない大切な気持ちを教えてくれたこの絵本を、そっと抱きしめたくなりました。言葉にしなくても、ママの思いが自然と子どもに伝わるとき、子どもは成長しているのですね。いつもバークリーと一緒に遊んでくれるママにバークリーがどうやって感謝の気持ちを伝えたのか・・・。静かなあたたかい気持ちが込み上げて、涙します。表と裏の見返しも凝っているので見てくださいね。バークリーの成長の記録です。
誰かのことを思う気持ちを教えてくれる、素敵な一冊です。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
バークリーとママは海辺に住んでいる。ある日バークリーは、流れ着いた流木でパパのために舟を作ることに。何艘も何艘も作り、パパの所に届くよう、海に浮かべるが・・・。
今年2月、交通事故に遭いました。上の子は保育園、お腹にいた赤ちゃんは急遽帝王切開にて出産し母子ともに無事でした。しかし主人は意識が戻らぬまま1か月後に亡くなりました。相手の信号無視で起こった最悪の事故でした。
3歳の子は毎日「パパと○○に行ったのー」と願望を言います。下の子はパパとの思い出はありません。上の子も大きくなったらパパとの思い出を忘れてしまうでしょう。
私自身主人が亡くなりどうしようもない淋しさと悔しさでいっぱいの中、この絵本を読み、ママの思い、子の思いが痛いほど伝わってきました。
娘達がもう少し大きくなったら一緒に読んであげたい、パパはあなた達をどれだけ大切に思っていたか、一緒に成長を見れないことがどれだけ悔しいか、伝えてあげたいとおもいました。
ママも辛くても、一生懸命に子どもと接していけばいつか子どもにもわかり、一緒に悲しみを、分かち合える日が来るのかなと思いました。もう二度とパパには会えません。だけど一生懸命生きていかなくてはいけないと改めて思わせてもらいました。
まだ娘は3歳と0歳、もう少し大きくなったら一緒に読ませていただきます。 (yukapikaさん 20代・ママ 女の子3歳、女の子0歳)
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