春に生まれたヤマメのピンクにとって、初めて迎える冬。 凍えるように冷たい川、それは動物も魚もみんながおなかをすかせる厳しい季節だった。 やっと見つけたごちそうも、大きなヤマメに取られます。 その大きなヤマメを食べるのは、もっと大きなイワナのスノーじいさん! スノーじいさんは、すれ違いざまピンクに言うのです。 「もうすぐ食べるものがなにもなくなるぞ。 つらいぞ、ピンク、待つしかないんじゃ、春までな。」 つらい冬が続きます。ある日、ふらっと泳ぎだしたピンクはイタチに襲われます。 その時イタチに躍りかかっていったのはスノーじいさんで…。
「ヤマメのピンク」シリーズ第2作目です。 夏の川を描いた前作とはガラッと雰囲気が変わり、今回の舞台は暗くて寒い冬の世界。 寒さに凍え、食べ物を奪い合う魚たちの中で強烈な印象を残すのが、スノーじいさんの存在感です。食うか食われるか、死ぬか生きるかの状況の中で、スノーじいさんが気にかけるのは小さなピンク。冬を熟知しているスノーじいさんは、そのつらさを伝えようとしたのでしょうか。それとも。 やがて迎える光にあふれる春。少し大きくなったヤマメの姿を見ながら感動の心に包まれていきます。
色がなくなる冬の川の中で起きる出来事を、鮮烈に、緊張感たっぷりの絵で描き出したこの作品は、ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞しています。雪の場面へと移り変わるページ、イタチが水に飛び込んでくる場面、まぶしい春の川を泳ぐ場面…読んだ後もずっと心に残るほど美しい絵の数々を堪能することができます。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
●ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞受賞 ヤマメのピンクが迎える初めての冬。それは、動物も魚もおなかをすかせる厳しい季節だった。ある日、イタチに襲われたピンクを助けようと、大イワナのスノーじいさんは…。暗くて寒い冬から、光あふれる春への場面展開が感動的な絵本です。
※2013年、「ヤマメのピンク」シリーズが「国連生物多様性の10 年日本委員会(UNDB-J)」 推薦「子供向け図書」 (愛称:「生物多様性の本箱」〜みんなが生きものとつながる100 冊〜)に選定されました。
月並みな言葉ですが、すごくいい話でした。
前に姉妹編の作品「ピンク」を読んでいたんですが、それよりずっと印象的。
ボローニャ国際児童図書展グラッフィック賞受章作品です。
何かの賞をとったから、お薦めなのではなく、ほんとにしみじみくる良さがあるから賞もとったんだ。と、いいたい。
春に生まれたアヤメの「ピンク」が、寒い冬の川で、春を待てずにウロウロしていると、イタチに襲われてしまう。その時大イワナのスノーじいさんはイタチに飛びかかり、ピンクを助けてくれる。ピンクはおかげで一命をとりとめ、春を迎えることが出来た。でも、スノーじいさんは・・・。
助けてくれたスノーじいさんの死にも気付かず、春を喜ぶ脳天きなピンク。そんなのあり〜?って、人間感情では思うけど、他の生物の感覚ではこういうものなのかな、って気もします。
自然界の厳しさや儚いなさが伝わってくる物語です。 (てんぐざるさん 30代・ママ 7歳、3歳)
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