ある日、はんなちゃんが目を覚まして起き上がってみたら… まだ夜だったんですって。
隣のベッドのおねえさんも、おかあさんもおとうさんも みんな眠っているから、はんなちゃんは… 何をしたのかな?
小さなはんなちゃんが初めて体験するひとりきりの夜の時間。 静かに密やかに、でも好奇心たっぷりに行動するはんなちゃん。 猫のチロも一緒です。
1人で階段を降りたり、部屋をのぞいてみたり、 チロと秘密のおやつを楽しんだり。 立っている姿、座っている姿、ぼーっと満月を眺めている姿。 どのページ、どの場面一つとっても 本当に子どもらしい可愛さにあふれています。 特に一番の楽しみを発見した時のとろけるような表情といったら。
たしかにはんなちゃんにとっては、思いもかけず手に入れた 特別な魔法の時間だったに違いありません。 そして、読者は最後に魔法がとけていく瞬間のはんなちゃんの 飛びっきりの寝顔を眺めるという…幸せな時間を味わうことができるのです。
小さなはんなちゃんの、ほんの一瞬、幻のようなキラキラした時間。 酒井駒子さんの描き出す世界を思いっきり堪能してください。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
女の子が、初めてひとりで体験する夜の時間
真夜中に目をさました女の子が初めてひとりで体験する夜の時間。 しずかな夜の中で、ひそやかに気持ちがみたされる魔法のような時。
灰色の背景に切り取られたような絵は、まるではんなちゃんの夜の世界をこっそり覗いているかのようです。
文章にはんなちゃんの言葉はありません。
言葉はなくても表情で伝わってきます。
なんせ静かな夜の冒険ですから、おしゃべりは小さな声でしているのかもしれません。
酒井さんの絵は薄暗い夜の空気、雰囲気にとても合っていて静まり返った時間を感じさせます。
はんなちゃんが月に見とれている後ろ姿は、子どもの純粋さと好奇心に、月明かりの危うさがマッチして、なんとも美しい
チロの仕草や表情や動きもとても忠実で、感動しました。
トイレの時の目つきなんてそっくりですよ!
眠る前に読んでみてください。
お子さまの読み聞かせにもぴったりだと思います。 (ねんねこしゃんさん 20代・その他の方 )
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