アフリカの空のもと、私は歌い、踊り、風とかくれんぼする。 私は、プリンセスのジージー。 なんだって出来るはずの私だけど……水を呼びよせることだけは、できない。
「プリンセス・ジージー、起きる時間よ。 水をくみに行きましょう」
まだ暗い朝の時間に、お母さんが私を起こす。水が飲みたい、目をつぶったまま願ってみても、水はここには来ていない。私はくやしくて、地面をけっとばす。そして、空っぽのつぼを頭に乗せ、お母さんと一緒に水をくみに歩くのです……。
アフリカの、ある水くみ少女の一日を描いたこの絵本。スーパーモデルのジョージ―・バディエルさんの実際の体験が元になっています。彼女が子どもの頃、夏をおばあちゃんの家で過ごす中、村の女の人や女の子と一緒に、毎朝何キロも先にある川へ水くみに出かけていたのです。そして、モデルとして世界中で活躍する今、アフリカで井戸を作る運動をしています。
絵本の中の少女は、水くみから帰ってきて、飲み水をわかし、洗濯をし、ごはんの用意をし、畑仕事から帰ってくるお父さんを迎え、よくやくその瞬間を迎えます。
「さあ、水を飲んでいいわよ」
読み終われば、私たちには多くの疑問が生まれます。どうして、水がこんなに遠いのか。どうして水は、こんなににごっているのか。ピーター・H・レイノルズが描く、素敵に舞うプリンセス・ジージーの姿を眺めながら、その一つ一つの疑問に対峙し、強く願わずにはいられません。いつの日かきっと……。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
わたしはプリンセス・ジージー。わたしの王国、それはアフリカの空と土ぼこりのたつ大地。でも、そこに水はない。だからわたしは、朝はやくおきて、ずっとずっととおくまで水をくみにいく。いつの日か、わたしの王国に、つめたくてきれいな水があるといいな。いつの日か、きっと。
アフリカの、ある水くみ少女の一日を描いた絵本です。もとになる話をしてくれたのは、スーパーモデルのジョージー・バディエルさんです。ジョージーは、有名なファッションショーや、雑誌のモデルとして、世界中で活躍しています。 ジョージーは、西アフリカのブルキナファソで生まれました。子どものころ、水くみをした経験があり、水がどんなに大切か、よくわかっています。ジョージーは、いまアフリカで井戸をつくる運動をしています。ひとりでも多くの人が、きれいな水を手に入れられるように、プリンセス・ジージーの夢みた王国が、ほんとうになりますようにと。
水を手に入れることが難しい地域での生活の厳しさを、軽やかに、けれども粛々と描いたお話でした。同じ世代の女の子が自分とはまったく異なる、大変な生活を送っている様子に、子どもたちは衝撃を受けたようでした。学ぶことの多い絵本でした。 (さくらっこママさん 30代・ママ 女の子7歳、男の子5歳)
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