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夏の雨

パパ・60代・埼玉県

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夏の雨さんの声

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自信を持っておすすめしたい 海には母が隠れています  投稿日:2023/04/02
うみ
うみ 作: ピレット・ラウド
訳: 内田 也哉子

出版社: 岩波書店
この絵本『うみ』の作者ピレット・ラウドさんはエストニアの絵本作家です。
 でも、エストニアってどのあたりにある国か知っていますか。
 この絵本をきっかけに調べてみました。
 エストニアは北ヨーロッパにあって、バルト三国のうち最も北に位置する国です。
 国の広さは日本の九州より少し広く、人口は130万人強。
 美しい景色と自然が広がる国だそうです。
 この絵本も見ていると、なんだかこの国が持っている自然の豊かさみたいなものを
 感じます。

 この作品では、海は魚たちにご飯を食べさせたり、
 おふろに入れたり、物語を読んできかせたりする、
 母のような存在です。
 漢字の「海」には「母」という文字が入っているように、
 海に母の存在を感じるのは、どこの国にもある
 世界共通の思いなのかもしれません。
 そんな大きな海ですが、
 あまりにも魚たちがわがままなので、どこかに行ってしまいます。
 それでも、魚たちは遊ぶことに夢中になっていて、
 海がいないことにも平気です。
 でも、海がいないと物語を聞くことができません。
 海は魚たちのところに戻ってくるのでしょうか?

 あまり馴染みのない国の絵本ですが、
 通じる世界観を感じます。
 訳者は樹木希林さんの娘、内田也哉子さん。
 内田さん自身、母親でもあるので、
 つながるものを感じたのではないでしょうか。
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自信を持っておすすめしたい 絵本の世界は「あっち」かな  投稿日:2023/03/26
こっちとあっち
こっちとあっち 作: 谷川 俊太郎
絵: 樋勝 朋巳

出版社: クレヨンハウス
文章が谷川俊太郎さんで、絵が樋勝朋巳さんの
 絵本『こっちとあっち』は
 クレヨンハウスから2023年2月に出たばかり。
 奥付を見ると、
 クレヨンハウスの住所が東京の吉祥寺となっています。
 青山にあったお店が老朽化のため昨年の暮れに閉店となり、
 その後吉祥寺に移転したためです。
 もしかしたら、そういうこともあったのかもと思えてしまえるタイトル、
 『こっちとあっち』。
 それはあまりに深読みし過ぎかな。

 この絵本は谷川俊太郎さんの「あかちゃんから絵本」シリーズの
 16冊めとなる作品です。
 このシリーズは谷川さんが現代のアーティストと組んで、
 言葉と絵の楽しさを赤ちゃんにも感じてもらおうと取り込んでいるものです。
 なので、言葉も絵もとてもシンプル。
 「こっち」にいるぼくと、「あっち」にいるともだち。
 時にけんかをしたり、仲直りしたり。
 ともだちが「こっち」に来たり、
 ぼくが「あっち」に行ったり。
 それだけのお話ですが、
 赤ちゃんの笑顔が浮かんでくるような絵本です。

 自分にとっての「あっち」とはどんな世界なのか、
 つい考えてしまいました。
 そうしたら、絵本のページが「あっち」に思えてきたので、
 私も「あっち」で遊んでみようと思いました。
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自信を持っておすすめしたい 神話の世界を楽しくさせる飯野さんワールド  投稿日:2023/03/05
国生み イザナギ イザナミ
国生み イザナギ イザナミ 作: 飯野 和好
出版社: パイ インターナショナル
絵本作家の飯野和好さんはここ数年、
 日本の神話をたびたび絵本化してきました。
 アマテラスやスサノオといった神々を
 子供を対象にした絵本で見事に表現しています。
 飯野さんの絵柄や作風が神話の世界に合っていたともいえます。
 それらの神々よりもっと前、
 『古事記』の最初に描かれているのが
 この絵本『国生みイザナギイザナミ』の物語です。
 男神イザナギと女神イザナミが協力し合って
 日本の島々を作ったというのは聞いたことがあるでしょう。
 なかなか難解な文章が続きますが、
 飯野さんの絵がその難解さを程よく溶かしてくれます。

 日本の島々を作った二人はそのあと
 土の神や風の神といった私たちのまわりにあるものを
 次々と作っていきます。
 そして、火の神を作った時にイザナミはやけどで
 黄泉の国に行ってしまいます。
 そのあとイザナギの救出劇があるのですが、
 内容的には結構ハードですから、
 子供たちに読み聞かせる時は、怖がらせないようにする必要があります。
 でも、子供ってこういう怖い話が案外好きですから
 冒険ものを読むように話すといいかもしれません。

 こうしてイザナミと別れたイザナギは
 このあとアマテラスなどの三人の神をさずかることになります。
 飯野さんの神話ワールドはこうして
 先に刊行されていた絵本たちとつながっていきます。
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自信を持っておすすめしたい 早く大人になりたいな  投稿日:2023/03/01
星新一ショートショートセレクション(1) ねらわれた星
星新一ショートショートセレクション(1) ねらわれた星 作: 星 新一
絵: 和田 誠

出版社: 理論社
『星新一ショートショートセレクション1』(理論社)。
 表題作である「ねらわれた星」をはじめとして、19篇の「ショートショート」が収められた、児童書。
 装幀・挿絵(それぞれの作品にひとつ挿絵がついています)は、和田誠さん。
 「ショートショート」というのは短編小説よりももっと短い物語で、この児童書の場合、活字も行間も大きいせいもあってだいたい10ページほど、しかも和田さんの挿絵が1ページ分あるから、あっという間に読めてしまう。
 それでいて、オチが楽しめるのだから、なんとも楽しい読書体験といえる。
 これなら、本嫌いの子供でも難なく読めてしまう。

 この巻には、表題作のほか、星さんの代表作ともいえる「ボッコちゃん」も収められている。
 この「ボッコちゃん」はバーのカウンターで男性のお客を接待する美人ロボットで、子供が読んでわかるだろうかと思わないでもないが、案外子供はこういう少しエッチ系のたぐいの話が好きなところがあるから、許せるのだろう。
 星さんの作品にはやはり大人の読者を意識した内容も多い。
 表題作の「ねらわれた星」にも、ちょっぴりそんなスパイスがされている。
 きっと子供たちはベッドでクスクス笑いながら、読んでいるに違いない。
 あるいは、早く大人になりたいなと思っているかもしれない。
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自信を持っておすすめしたい 本の世界に旅立ちませんか  投稿日:2023/02/26
ほん book
ほん book 作: デイビッド・マイルズ
絵: ナタリー・フープス
訳: 上田 勢子 堀切 リエ

出版社: 子どもの未来社
この絵本『ほん book』は、原題もそのまま「Book」。
 アメリカの作家デイビッド・マイルズさんが文を書き、
 ナタリー・フープスさんが絵を描いています。
 物語が書かれている訳ではありません。
 しいていうなら、本の世界への旅が描かれているといっていいでしょう。
 こういう絵本は文をたどるのもいいですし、
 絵だけをじっと見ていく、そんな読む方もあっていいと思います。

 表紙見返しにこんな惹句がのっています。
 「さあ、すばらしい本の世界へ飛び立ちましょう! そこは、あなただけのとくべつな場所!」
 本への旅は、ここから始まっているのではありません。
 まずは、表紙。
 離陸前のシートベルトをしっかり締めた感じでしょうか。
 そして、この見返しは離陸前の機内アナウンス。
 なんだか、もうワクワクしてきませんか。

 開いた本はどんな世界ですか。
 この絵本では「まほうの森」と書かれていますが、
 もしかした海辺かもしれないし、無限の宇宙かもしれません。
 あなたが手にした乗車券は、あなたの思うままの世界へ連れていってくれます。

 最後のページに本を抱きしめる男の子が描かれていますが、
 それはきっとあなた自身。
 この絵本は読者に本への旅を誘ってくれます。
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自信を持っておすすめしたい まずはこの絵本を読んで、心のリフレッシュ  投稿日:2023/02/12
ころべばいいのに
ころべばいいのに 作: ヨシタケシンスケ
出版社: ブロンズ新社
今や絵本界を席巻する絵本作家といえば
 まちがいなく、この人だろう。
 ヨシタケシンスケさん。
 この人の作品を絵本というジャンルに入れてしまっていいのかどうか、
 コミックともいえず、イラストともくくれず、
 もしかしたら子どもよりも
 お母さんたちや若い女性たちの方がはまってしまう絵本、
 ということになるのだろうか。

 2019年6月に出たこの『ころべばいいのに』にしても、
 子どもにも理解できるだろうが、
 新入社員として会社に入った若い女性には
 ズンとくる絵本のような気がする。
 だって、「いしにつまづいてころんでしまえばいい」なんて思うような
 きらいなひと、いっぱいいそう、というか
 そういうように感じることをたくさん経験しそう。
 そんな時にどうする?
 この絵本に出てくる女の子のように
 靴下丸めたり、冷蔵庫のドレッシングを振ったりするのかな。
 いやいや、きっと
 ヨシタケシンスケさんの絵本を読んでみることだ。

 きらいな人とどう付き合うか、
 嫌な気分にどう向き合うか、
 ここにはそのヒントがあるのだから。
 この絵本を読んでぐっすり眠ったら
 きっと朝には気分がスッキリしていることだろう。
 だから、ヨシタケシンスケさんは
 人気絵本作家になったにちがいない。
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自信を持っておすすめしたい これは面白い絵本です  投稿日:2023/02/05
はなとひみつ
はなとひみつ 作: 星 新一
絵: 和田 誠

出版社: フレーベル館
「おはなしえほん」シリーズの一冊として、
 2009年4月に出版された『はなとひみつ』という絵本の巻末に、
 作者の星新一さんがこんなことを書いています。
 「作者としての願いは、読んで面白く感じてくれたかどうかの一点です。」
 なので、星さんの願いの答えをまず書きます。
 面白かったです。

 ストーリーのはじまりは、
 花が大好きなハナコちゃんのことから。
 ハナコちゃんは花を世話できるモグラがいたらいいのにと、
 花とモグラの絵を紙に書きました。
 ところが、風で飛ばされてしまいます。
 飛んでいった先は、ある国の秘密の研究所がある島。
 本国からの指令と勘違いした研究所の人たちは
 本当に花の世話をするモグラ型ロボットをこしらえてしまいます。
 そのモグラがどうなったかは、絵本を読んでのお楽しみ。

 星さんも書いていますが、
 絵を描いた和田誠さんのイラストレーションがいいんです。
 星さんと和田さんは相性がよくて、
 和田さんは星さんの作品にたくさんのイラストを提供しています。

 最後に星さんが「あとがき」に書いた、
 こんな言葉を書き留めておきます。
 「自己の好みの確立。これこそが人生において最も大切」。
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自信を持っておすすめしたい あべ弘士さんこそ手品師かも  投稿日:2023/01/22
アリューシャン・マジック
アリューシャン・マジック 作・絵: あべ 弘士
出版社: のら書店
手元に世界地図があれば、まず広げてみよう。
 あべ弘士さんの絵本『アリューシャン・マジック』のタイトルにもある
 アリューシャンがどのあたりにあるか、
 探してみよう。
 見つかったかな。
 アラスカ半島からロシアのカムチャッカ半島にかけて連なる
 約1930キロメートルにわたって延びる弧状の列島が
 アリューシャン列島と呼ばれています。

 そこでマジックショーがありのでどうぞ、という招待状が
 ラッコのぼうやに届きます。
 この絵本で、そのマジックショーが楽しめるのです。
 といっても、ここでのマジックは
 自然界の生き物や気候が見せるなんとも不思議な光景。
 まずは、山の山腹に残る雪の模様が怪しげ。
 そのどれもが、まるで生きているかのよう。

 次には大ダコやクジラの乱舞。
 鳥たちの羽ばたきも波のしぶきも、山々のこだまする風の音も
 まるですべてが魔法のよう。
 それは、生き物たちの息吹。地球の鼓動。

 ほとんど文章のない絵本ですが、
 あべさんの絵はなんともおしゃべり。
 たくさんのお話が聞こえてくるよう。
 そんな不思議な絵本、そう、これこそマジック。
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自信を持っておすすめしたい よろこびって何だろう  投稿日:2023/01/15
ばあばに えがおを とどけてあげる
ばあばに えがおを とどけてあげる 文: コーリン・アーヴェリス
絵: イザベル・フォラス
訳: まつかわ まゆみ

出版社: 評論社
普段何気なく使っている言葉ほど
 その意味を人にうまく伝えられないことがあります。
 イギリスの作家コーリン・アーヴェリスさんが文を書いて
 イザベル・フォラスさんが絵を描いた
 『ばあばにえがおをとどけてあげる』という絵本には
 「よろこび」という言葉の意味を
 主人公のファーンという女の子がママに訊ねる場面があります。
 ママが答えます。
 「ひとのこころをしあわせにして、めをかがやかせるものよ」
 なんて、素敵な答えでしょうか。

 ファーンがそんな質問をしたのには
 理由がありました。
 ファーンが大好きなばあばが最近元気がないからです。
 どうかしてばあばを元気にしてあげたい彼女は
 町に出て「よろこび」を捕まえることにしました。
 ファーンには町は「よろこび」に満ち溢れています。
 子犬のにこやかな顔、小さな女の子の笑顔、池の水のきらめき、
 でも、それを捕まえることはできません。
 仕方ないので、ばあばに自分がみた話をしてあげました。
 すると、どうでしょう、ばあばの顔に笑顔がもどりました。

 何気なく「よろこび」という言葉を使い、
 それをとても大層なものに思っているかもしれませんが、
 よく見ると、この世界にはたくさんの「よろこび」に満ちています。
 この絵本に出会えたのも「よろこび」。
 ちなみにこの絵本の原題は「joy」、「よろこび」です。
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自信を持っておすすめしたい おとなになったらわかっておきたいこと  投稿日:2023/01/09
性の絵本 せいってなーんだ?
性の絵本 せいってなーんだ? 作: たきれい
監修: 高橋 幸子

出版社: KADOKAWA
成人の日を迎える若い人に
 こんな絵本のプレゼントはどうでしょう。
 たきれいさんの『性の絵本 せいってなーんだ?』。
 セックスの絵本ではなく、性の絵本。
 最初に、「性ってなんだろう?」とあって、
 こう書いてあります。
 「性ってじぶんらしさ」って。
 そこには3つのみかたがあって、
 「こころの性」「からだの性」「こいの性」って書いてある。
 「こい」は恋、好きっていう気持ち。

 この絵本にはそのほかにも
 「いやなときはいやだっていっていい」とか
 「いいとおもうものはみんなそれぞれちがう」とか
 容姿の違いをからかってはいけないことやとっても
 困っている人をたすけることなど、
 とっても大切なのに、つい忘れてしまいがちなことが
 シンプルに表現されています。

 一番大事なことは
 自分がこの世界で、たったひとりの「とくべつ」で、
 ほかのひともみんな「とくべつ」だということ。

 こんな素敵な絵本を成人式に配る
 気のきいた自治体はないものでしょうか。
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