「おれたち、ともだち!」絵本 レビュー大賞決定!
何だかおかしな格好をしたキツネがやってきましたよ。 両手にちょうちん、のぼりを立てて、彼は言うのです。
「えー、ともだちやです。 ともだちは いりませんか。」
彼が思いついたのは「ともだちや」。 1時間で100円、2時間で200円…お金をもらってともだちになってあげるのです。 ひとりぼっちの人に、さびしい人に、ともだちや。 うーん、これはなかなか名案!? どうかしら。 200円もらってクマのともだちになったキツネは、とても疲れているように見えますが…。
そんな時、どこかから声がかかります。 「おい、キツネ」 こわごわと声のする方を覗き込むと、そこにいたのはオオカミ。 トランプの相手をしろ、と言うのです。 言われるままにひとりしきりトランプ遊びで盛り上がった後、キツネがお代をもらうために申し訳なさそうに手を差し出します。すると、オオカミは思わぬことを言うのです……。
「ともだち1時間100円」、なんて強烈なフレーズなのでしょう。だけどこれこそ、これから長く続くキツネとオオカミの関係の始まりの物語なのです。こんな事を思いつくのは一体どんな狡猾なキツネなのかと思いきや、憎めないどころか考えている事が全部が表情に出てしまうような、愛嬌たっぷり、一度見たらすぐに好きになってしまうようなキャラクターなのです。オオカミから「ほんとうのともだち」という言葉を聞いて、心の底から驚くキツネ。どうやら何も知らずに「ともだち」を欲しがっていたのは、キツネの方だったようです。
「なるほどねえ」
いつだって媚びることなく、思ったことだけをいうのはオオカミ。しびれますよね。この二人の「ともだち関係」はこれからどうなっていくのでしょう。内田麟太郎さんと降矢ななさんによる最高傑作シリーズ「おれたち、ともだち!」の記念すべき第1作目。この1冊ははずせませんね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ある日、キツネは<ともだちや>を始めることを思いつきました。1時間100円でともだちになってあげるのですが、さて…。
友達を大事にしようとか、そういう言葉って大人が子どもに言うと、白々しくて説教くさい感じになりますが、この絵本は良いですね。自然に友達の大切さが伝わってくる。
「ともだちはいりませんか さびしいひとはいませんか」と声をかけながら歩くきつね。最初のお客はくま。1人でイチゴを食べてもおいしくないというくまに、仕事として、まずくてたまらないイチゴ嫌いなを飲み込むきつね。200円受け取ってさよなら。子どもとしては、なんとも複雑な気持ちで聞いているんでしょうね。
次はおおかみ。おおかみに付き合って、楽しくトランプで遊ぶきつね。お金を請求したら「ほんとうのともだちか?」と言われて、気が付きます。それから、毎日遊ぶ二人。おおかみは一番大事なおもちゃまできつねにあげます。
それからきつねの「ともだちや」の呼び込みの声は変わるんです。「なんじかんでもただ まいにちでもただです」って。 (ぎんにゃんさん 30代・ママ 女の子3歳、男の子1歳)
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