きみは、生まれる前からブルーとつながっていた。男の子だとわかった瞬間から。きみは、今でもブルーにとらわれている。ピンクや茶色が好きだったとしても。
でも、本当にそうかな。きみの涙はピンクでもブルーでもない。涙は人間のしるし。大人になったら全然別な色が好きになるかもしれないよ。
ダンスをするために生まれてきたと言われるきみは、いつだって頭の中にリズムを奏でている。でも、それはもしかしたら世界をかえるようなプログラミングを考えつくことにつながっていくのかもしれない。
いつもぼんやり上の空、笑わせることが得意なきみは、自分みたいな子どもの気持ちがわかる素敵な先生になるかもしれないし、誰にでも優しいあなたは、いつかみんなのリーダーとなって引っ張っていく強さを持った人になっていくのかもしれない。
きみが持っている音は、ひとつじゃない。生きていく上で経験した気持ちや出会いで色々によってさまざな音や色がパッチワークみたいにぬいあわさっていく。それが例えいびつでも、ちぐはぐでも……。
詩のようにつづられていく文章とともに描かれているのは、少しずつ色の数が増えていき、どこまでも空想が広がっていくような美しい絵。それらは時には抽象的に感じることもあれば、どこかでまっすぐ具体的に心に突き刺さってくることもある。読むたびに捉え方が変わっていくこともあるでしょうし、心が解放されたように感じる子もいるかもしれない。
ニューベリー賞とコールデコット賞をダブル受賞した作家と、ニューヨークタイムズベストセラーとなった絵本作家によって生まれたのは、無限の可能性を秘める子どもたちの豊かな心の世界を、子どもたちにも大人たちにも伝わるように描いてくれた絵本。それぞれのタイミングで、ふと手にしたくなる一冊になっていくといいですね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
あなたがもっているものはひとつじゃない。出会ったもの、感じたこと、全てがつながり合っている。さまざまな形や色をつないで豊かな世界をつくるパッチワークのように、悲しみも喜びも、成功も失敗もそのままにつなぐと、いびつでも、ちぐはぐでも美しいものになるはず――。子どもたちのもつ無限の可能性を描いた絵本。
「きみが持っている音は、ひとつじゃない」「きみはシンフォニーなのだ」などといった素敵な言葉たちが、詩のようにちりばめられていて、どれもすごく心に響きます。
また、パッチワークに例えることでこんなにもしっくり伝わるのだと。いびつでも ちぐはぐでも いい、というメッセージは、肯定的で前向きな気持ちにさせてくれます。
この絵本とともに、我が子を見守りながらさり気なく応援していけたら良いなと感じました。いつでも手にとれるところに置いておきたい一冊です。
(腹ぺこな青虫さん 30代・ママ 男の子2歳)
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