おおうなぎにつれられて空にのぼったとくべえはかみなりのゴロゾウと会って月宮殿へ行くが…。
表紙絵から笑いは始まりました。
上方落語「月宮殿星の都」からの出典です。
作者の桂文我さんは、平成の今日では、舞台に掛けられることのなかったネタや、稀にしか上演されなくなってしまった珍品を新たに仕立て上げる作業に精力的に取り組んでいらっしゃる方だそうです。
このお話しも「地獄八景亡者の戯れ」的なノリで 新たな仕立てになさったお話しだそうです。
大うなぎを釣り上げてそのまま中天まで引っ張られ、置き去りにされたとくべえさん。
かつて助けたカミナリのごろぞうさんに歓待させれます。
虹のそうめん。 あられのみぞれ和え。 はるさめのしぐれ。
想像するだけで綺麗だろうなと思いましたが、しっかりシャレもきいています。
さてさて、ちょうどこの日は月宮殿というお屋敷のお祭りの日。
しっかり変装し、仕上げに夕焼けの赤い粉をまぶして、ごろぞうさん一家と祭り見物に。
お屋敷の王様とお后様に差し出されたのは、下界の人間のたちから取ってきたおへそがこんもり。
これを目撃した、とくべえさんはごろぞうさんの力を借りて、人間たちへ返してあげる策を練ります。……。
状況はコミカルなのですが、おへそを返す表現はなんとも詩的で綺麗な表現です。
落語だということを忘れそう。
下界の人間の「おへそがかえってきたぁーっ」の声が聞こえるくだりで、そうそうこれは落語だと気持ちを戻されます。
絵本ならでは出せる臨場感が、お話しを聞くこどもたちを喜ばせそうです。
表紙だけでもご覧になってみてください。
思わず開きたくなりますよ。 (アダム&デヴさん 50代・ママ 男の子11歳)
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