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「どうも、はじめまして。ぼくの名前は「ドーム」。あいにきてくれて、ありがとう」──1915年にできた「広島物産陳列館」は、100年以上も広島を、世界を見てきた。ドームとは何なのか、何を語りかけているのか。原爆ドームの声をきけ! アーサー・ビナードによるドームの語りと、スズキコージの絵が、未来へ記憶をつなぐ。
スズキコージさんのダイナミックで独特の雰囲気のある絵や絵本は以前から大好きで、毎回わくわくしながら表紙をめくります。しかし今回は原爆ドームの話ということを読む前に知って、恐ろしく、悲しい気持ちになるものを見ることになるのかもしれないと重い気分で読み始めました。
原爆ドーム自身が語る口調で書かれた文章は、読み手の心に深く響いてきます。物産陳列館として建設され、人々の活気にあふれた楽しい場所であったのが、戦争、原爆の悲しい歴史を今に伝える建物となってしまったドームくん。ドームくんはどんな気持ちでいるだろうと、私も今までにない視点で原爆について考えることができました。
原爆の恐ろしい破壊力は、原爆ドームの実際の姿を見ればすごく伝わってくるのですが、そこにあった人々の幸せな生活まで一瞬で奪い去ってしまった悲しいものだということは、この本が強く教えてくれました。
スズキコージさんの絵は、目を閉じてもすぐに思い浮かべられるくらいいつも印象に残る絵です。そんな方がこの絵本の絵を描いたことはとても意味があると思います。
今度は子どもと一緒に読もうと思います。幼いなりにも、何かを感じ取ってくれることと思います。 (てつじんこさん 30代・ママ 男の子7歳、男の子4歳)
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