あんなに大きかったはずなのに……?『くまちゃんがちいさくなっちゃった』【NEXTプラチナブック】
おとうさんがくれたのは、とっても大きなくまのぬいぐるみ。ぼくのベッドにすわればいっぱいになっちゃうし、移動させるのも大変。だけどいつもぼくを守ってくれるから大好き。ところが……
「あれっ、くまちゃんが ちいさく なってる」
おとうさんは、そんなことないよって言うけれど。ぼくとおんなじ大きさになっちゃった。でもふたごの兄弟みたいだし、そんなくまちゃんも好き。だけどおかしいな。くまちゃんはどんどんちいさくなっていくみたいで……。
生まれた時からいつも一緒のぼくとくまちゃん。ぐんぐん背がのびていくぼくと、ちいさく見えていくくまちゃん。なんだか寂しいような、でもくまちゃんがいるとほっとするのは変わらない。大きくなるって、こういうことなんだね。
大人から見る子どもの成長って、本当にあっという間。気が付けば、一人でベッドに入り、学校にだって行くようになって。だけど、当の本人はどうだろう。この絵本では、くまのぬいぐるみとのふれあいを通して、成長していく不思議を「ぼく」の視点から描きます。いつまでも心にとどめておきたくなる、宝物のように愛しい期間ですよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
おとうさんからもらった、おおきなくまのぬいぐるみ。でも、あるとき気づくと、ぼくよりちいさくなっていて......。だいすきなくまのぬいぐるみとのふれあいを通して、少年の成長をさわやかに描いた、せつなくも心温まる絵本。
自分が子供だった頃はあんなに広く感じた実家が、久しぶりに里帰りをすると、驚くほど小さく見えた。
買ってもらったばかりの自転車をつま先立ちでヨロヨロと乗っていたのに、気づいたらもう買い替えが必要なくらい小さくなっていた。
誰しもが、ふとした瞬間に自分の成長を実感しながら大きくなっていきます。
子供の立場からすると、それは驚きと誇らしさの瞬間ですが、そばで見守っている親にとっては、嬉しさと共に、何とも言えない寂しさや切なさが入り混じっています。
いつか子供達が私の身長を抜いた時、誇らしげに笑う彼らの前で、私は心の中で泣き笑いのような複雑な顔をしていることでしょう。
それでも、このくまちゃんのようにニコニコと変わらぬ笑顔で、子供達を見守り続けていきたいです。 (miki222さん 40代・ママ 男の子10歳、女の子8歳)
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