「キルル キルル」 小さな声でなくへんてこないきもの・キルル。 おじいちゃんのふでばこの中であかいふたつのめだまが、じっとぼくをみています。 導入部分だけでぎゅっと心をわしづかみにされてしまいました・・・。 物語は、ぼくとキルルの出会いから、キルルがどうやってここに来たか、そしてやがて来る別れの場面までを優しく、切なく描いています。 「50年たっても ぼくがキルルのことわすれませんように 100年たっても キルルがぼくのことわすれませんように」 痛いほどぼくの気持ちが伝わってきます。 丸まって寝ていたり、小さな火をふいてみたり、ぼくの手のひらにのってみたり。 私だって絵本の中のキルルに夢中です。ふと隣を見れば、6歳になる息子も同じ目でキルルを見つめています。 絵本を開けばキルルに会える。それだけで、この絵本が宝物になってしまいそうです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
おじいちゃんのふでばこの中にいた へんてこないきもの・キルル。
ぼくとキルルの楽しい日々は永遠だと思ってたけど…。 50年たっても、100年たっても キルルがぼくのことを忘れませんように。
少年と小さな“りゅう”の 出会いと別れが胸に迫る感動作。
ずっと机の引き出しにいれたままだった
おじいちゃんがくれた藁で編んだふでばこ。
キルルキルルって小さな声に気づいてみつけた
へんてこな生き物。
赤い目玉で、キルルって鳴く、トカゲみたいな生き物。
大きなあくびをした後で、小さな火を吹いたので、
もしかして・・・龍?ってぼくは思います。
でも、図鑑の龍は「珠をもっている」のに、キルルは持っていない。
ふでばこをくれたおじいちゃんに、聞いてみたら。
とかげじゃろ?
おじいちゃんがそう言ったら、キルルが悲しそうに鳴いた。
でも、このキルル。
おじいちゃんとある約束をしていたために、
ふでばこの中にいたんです。
「50年経ったら思い出す」
キルルとの出会い、そしてどうしてふでばこにいたのか。
おじいちゃんは思い出して、泣きながら
ぼくとキルルに話してくれます。
「ぼく」が誰かにはなしているような、
一人でつぶやいているような文体で、
じんわりと染みるようなとってもいいお話でした。
松成さんの「じいじのさくら山」も、ぐぐっときます。
兄ちゃんが幼稚園生時代に読み聞かせをされたかたがいて、
聞いていて、思わず泣きそうになりました。
派手ではないけど、じわ〜っとします。
ちょ〜っと疲れた大人にもいいかもしれません。 (わにぼうさん 30代・ママ 男の子7歳、男の子3歳)
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