すみれは、よく泣きます。 悲しいときも、おこられたときも、つまづいて転んだときも。
「なくこは きらい」ってお母さんは言うけれど。 おばけが夢に出てきて怖いときも、けんかしたときも。 ゲームに負けて悔しいときや、笑いすぎた時だって。 すみれは大いに泣くのです。
だってね。 それには理由があるんだよ。 それはね……
困っちゃうくらい泣き虫の女の子、すみれちゃん。絵本を通したって、お母さんが手を焼いているのが伝わってきます。だけど、すみれちゃんは本当に可愛いのです。どんなに泣いていたって、顔をくしゃくしゃにしていたって、だだをこねて転げまわっていたってね。そして、すみれちゃんは泣きながら、大切なことをお母さんに訴えます。
この絵本の元になった紙芝居を書いたのは、なんと作者が小学校1年生の時なのだそう。絵本作家やべみつのりさんのお孫さんです。(今もまだ中学生ですけどね)本当に泣き虫だった彼女が、家族に「泣きたくて泣いているわけじゃない、しょうがないんだよ」という気持ちを伝えたくて生まれてきたお話なのです。だからこそ、子どもの愛らしくも切実な想いが伝わってくるのですね。
そして完成した絵本の中では、おじいちゃんであるやべみつのりさんが、感情を爆発させるすみれちゃんのありのままを描きます。そこには、彼女の訴えをまっすぐ受け止める姿勢と、彼女のことをまるごと受け入れる家族への愛情の両方が感じられ、読んでいる私たちの心をも刺激します。彼女の最後の一言に、キュンとせずにはいられません。
そうだよね、すみれちゃん。 「ひとはなくもの」、忘れないようにしなくてはね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
泣き虫のすみれにお母さんは「なくこはきらい」と言います。でも、悲しいとき、痛いとき、怖いとき、悔しいとき…、涙にはいろんな理由があるんだよ、だから泣き虫のすみれをまるごと好きになって!と、訴えます。
保育園2歳児クラスの担任をしています。
新刊の紹介があったときに、「この本は絶対にこどもたち好き!」
と直感しました。
早速読んでみると、みんなじーっと本を見つめて食い入るようにみていました。
それもそのはず、すみれの姿泣くが本当に自分たちにそっくり!
どんな時に泣いてしまうか、まだ自分の気持ちや感情が整理できていないこどもの時期。
「なんでなくの?」その答えが、こどもの目線でこどもの言葉で書いてあって、こどもも、読んでいる大人も納得の一冊です。
また、絵を書いたやべみつのりさんが描く、お孫さんのすみれの泣く姿が、なんとも可愛らしく、パワフルで、生命力を感じられるのも素敵でした。 (くねっさんすさん 30代・ママ 女の子2歳)
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