「14ひきのシリーズ」で親子代々魅了し続けている絵本作家いわむらかずおさん。 待望の新シリーズの主人公は野うさぎの兄妹「ふう」と「はな」。 小さなふたりの子うさぎが広い野原に駆け出していきます。そこで出会ったのは・・・大きな大きな牛のおばさん!ふたりはくさかげでじっとうずくまります。危険から身を守る一番の方法だとおかあさんに教えられているからです。小さなふたりの視界に足、鼻、顔・・・と、牛のおばさんが徐々に姿を現していく場面からは緊張感と驚きが手にとるように伝わってきます。 でも、おなかの中にあかちゃんがいることを知り、少しずつおばさんに興味を持ち始める「ふう」と「はな」。子どもならではの方法でたくさんの発見をしていきます。こんな風に子どもは色々なことを学んでいけるのですね。 柔らかな線とあたたかな色合いは子うさぎの可愛らしさや牛のおおらかさを引き立たせ、空の広さや地面の近さは子どもの頃の感覚を思い出させてくれます。そして、まるで絵本の中から風が吹いてくるような優しい風景。これから「ふう」と「はな」にはどんな出会いが待っているのでしょう。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ちいさな野うさぎの兄妹「ふう」と「はな」は、野原をかけだしました。そこで出会ったのは、牛のおばさん。ふたりは、そのおなかの中に赤ちゃんがいることを知ります……。いわむらかずお、待望の新シリーズ!
<著者より> 野に生きる子うさぎ「ふう」と「はな」の毎日は、驚きと発見に満ちた冒険の日々です。自然からたくさんのことを感じ取り、いのちの仕組みを学んでいきます。私の美術館がある「えほんの丘」の活動のなかから生まれた一冊です。
いわむらさんのインタビュー記事を大変興味深く読ませて頂き、牛のおなかに赤ちゃんがいるということで(私も妊娠中なので)さっそく娘に手渡してみました。
14ひきシリーズと、絵がぜんぜんちがう!と言うので、こっちはもっと本当の動物に近く書いたんだって、ウサギのあかちゃんって、こーんなちいちゃいんだって、とインタビューにあった、観察の上出来た作品だと教えてあげると。
娘「じゃあ本当ならどうしてあかちゃんなのに2人ででかけてるの?」
私「ウサギのあかちゃんは、おかあさんと離れてることが多いんだって」
娘「へぇえ、これ、ほんものの大きさなんだ。でも、うさぎのおかあさんて、5歳くらいでももうおかあさんなんだよね、私より年下でも」
ちょうど学校で飼っていたウサギがこの夏5歳でなくなったとかで、自分の知っている本物のウサギに結びつけることができました。
「あかちゃんだから、おっぱいみつけるんだね。私なら大きな牛見たらモンスターと思うけど、あかちゃんモンスターとか知らないもん」
創作背景があったおかげで、随分絵本から会話が広がりました。
動物の生態に詳しく、忠実に描かれたやはりウサギのピーター・ラビットを思い出しました。
小さいうちに絵本でこういう自然に忠実な描写に触れると、大きくなってからも「あれはこういうことだったんだ」と振り返れるはずなので、ある意味未来への財産にもなる絵本だと思いました。
今後のシリーズが楽しみです。 (ポピンズさん 30代・ママ 女の子7歳、男の子3歳)
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